「敬意を持ってぶっ飛ばす」 比嘉大吾を視察した王者陣営・八重樫トレーナー「弱点は掴んだ」

AI要約

比嘉大吾が武居由樹への世界挑戦に向けて練習を公開。武居陣営は比嘉の弱点を掴んでおり、両者の心理戦が始まる。

比嘉の過酷な練習と八重樫トレーナーの観察。野木トレーナーの戦略についてのコメントも。

比嘉は2018年以来の世界戦に向けて4連勝。武居との試合がセミファイナルとして行われ、4団体統一王者の井上尚弥もメインイベントとして出場。

「敬意を持ってぶっ飛ばす」 比嘉大吾を視察した王者陣営・八重樫トレーナー「弱点は掴んだ」

 ボクシングのWBO世界バンタム級1位・比嘉大吾(志成)が19日、同級王者・武居由樹(大橋)への世界挑戦に向け、都内の所属ジムで練習を公開した。体重超過でWBC世界フライ級王座を剥奪された2018年4月以来の世界戦。視察した武居陣営の八重樫東トレーナーは「弱点は掴んだ」と自信を見せた。NTTドコモの映像配信サービス「Lemino」で独占無料生配信。戦績は初防衛戦の28歳・武居が9勝(8KO)、29歳の比嘉が21勝(19KO)2敗1分け。

 冷房の効いたジムで滝のような汗を流した。比嘉はシャドー、サンドバッグを1回ずつ披露。ランニングマシーンで10秒全力疾走した直後、サンドバッグを10秒間、声を上げながらがむしゃらに打ちまくった。フライ級時代から師事する野木丈司トレーナーの過酷な練習法。公開練習は軽めに流す選手も多いが、汗だくで倒れ込んだ。「ありがとうございました……」。息も絶え絶えだ。

 元世界3階級制覇王者の八重樫トレーナーは会見、練習をしっかり観察。「素晴らしい練習だなと。体重はこれからでしょうけど、いつもの比嘉大吾。それ以上でも以下でもないですね」と称えた後、「癖は出ていましたね。シャドーもサンドバッグも、今の動きだけでも出ていた。心理戦で言っているわけではなく、本当に出ていました」と指摘した。

 練習前の会見では、野木トレーナーが「すでに心理的な駆け引きがある。大吾は入り際に癖があるんですよ。頭を下げる。それを踏まえた上でどう入るか練習しています。相手は『比嘉はこう入るからアッパーを狙え!』とやっているでしょうね」と、八重樫トレーナーを横目に不敵に笑っていた。

 これを踏まえ、八重樫氏は「そこを突くものですが、それをやってくるのも想定内でしょう。でも、違う癖もある」と応戦。比嘉、武居、自身も野木トレーナーの階段トレーニングに参加したことがあり、旧知の仲だ。「長い付き合いなので全部わかっている。比嘉大吾の一番の怖さは乗っている時。武居も言っていますが、敬意を持ってぶっ飛ばしたい」と強い言葉を使い、続けた。

「今回はどちらかが倒れる試合。武居が倒す。弱点は掴みました」

 比嘉は18年4月に世界戦で日本人初の体重超過を犯し、2度防衛したWBC世界フライ級王座を剥奪。資格停止処分を経て1敗したが、再起後4連勝で6年5か月ぶりに世界戦にたどり着いた。

 この日の会見は、目の前にいる八重樫トレーナーへのメッセージを求められ「計量オーバーの後、いろいろご飯に連れて行ってくださってありがとうございました」と頭を下げた。同トレーナーも「試合が終わったらまた行こう」と笑顔。練習後に握手を交わし、別れた。

 試合はセミファイナル。メインイベントでは、世界スーパーバンタム級4団体統一王者・井上尚弥(大橋)が、元IBF王者TJ・ドヘニー(アイルランド)と4団体防衛戦を行う。バンタム級は武居のほか、WBAに井上拓真、WBCに中谷潤人、IBFに西田凌佑が就き、全4つの王座を日本人が独占。元日本王者・堤聖也や那須川天心も同級で世界王座を見据える激戦階級。まずは武居と比嘉が生き残りを懸けて激突する。