「時が止まる」球 京都国際・西村、左腕の系譜継ぐ新星 夏の甲子園

AI要約

新潟産大付の打者にとって脅威だった西村の特殊なチェンジアップが活躍し、京都国際は4-0で新潟産大付を撃破した。

西村は指先の繊細な使い方と高い身体能力を活かし、要所で決め球を投げ、3安打完封勝利を収めた。

西村はチームを勝たせるために成長を続け、森下瑠大に憧れていることが紹介された。

「時が止まる」球 京都国際・西村、左腕の系譜継ぐ新星 夏の甲子園

 ◇高校野球・夏の甲子園2回戦(14日)

 ◇○京都国際4―0新潟産大付●

 中軸に右打者が並ぶ新潟産大付の打線を見て、京都国際の小牧憲継監督は、甲子園初登板となる2年生左腕・西村一毅を先発マウンドに送った。

 「左投手対右打者」は一般的に不利とされるのになぜか。それは西村の持つ「特殊球」があるからだ。

 「ボールが止まって見えたんです……」

 新潟産大付の右打者は、口々にその球の脅威を語った。それが決め球のチェンジアップだ。

 直球と変わらない軌道から打者の手前で急ブレーキがかかる。まさに「時が一瞬止まった」ように感じるのだろう。右打者からすれば遠くへ逃げていくからつかまえづらい。一回2死一、二塁のピンチも低めのチェンジアップを打たせて脱した。

 チェンジアップを投げるコツは「手首を固定して真っすぐと同じ(腕の)振りで投げること」と西村は語る。さらに直球以上に腕を振ることで、“抜け”と落差を生むのだ。

 要所で決め球が決まり、3安打でシャットアウト。「完封は意識していないけど、チームを勝たせることができたのでそこが一番」と涼しい顔だった。

 繊細な指先の使い方と高い身体能力。小牧監督は2021年夏の甲子園で4強入りした時のエース左腕・森下瑠大(DeNA)に「似ている」と言う。西村も森下に憧れて、京都国際に入学した。

 それだけの逸材も、今春のセンバツはベンチ外。その悔しさが成長の養分となった。投げ込みを増やし、制球力が増した。背番号「1」を付ける左腕・中崎琉生との「二枚看板」で春の近畿大会を制した。

 森下、前チームの杉原望来(広島)、中崎に続き、またも好左腕が現れた。「(次戦も投げる気持ちは)あります」と西村。系譜を継ぐ資格は十分だ。【生野貴紀】