心の支えは師匠とライバル 樋口「みんなで取った金」―レスリング〔五輪〕

AI要約

2016年リオデジャネイロ五輪以来、8年ぶりの決勝で逆転勝利を収めた樋口は、金メダルを取ることができた喜びを分かち合い、師匠や仲間への感謝を示した。

湯元コーチや文田選手との切磋琢磨が樋口のモチベーションを高め、金メダル獲得に貢献した。

今回の勝利を通じて、樋口はライバルやチームメイトとの絆を深め、更なる成長への道を模索する決意を示した。

 銀メダルを獲得した2016年リオデジャネイロ五輪以来、8年ぶりの決勝。

 リー(米国)に4―2で逆転勝ちを収めた樋口には、セコンドエリアで男泣きする湯元コーチが見えた。「コーチや仲間、みんなで取った金メダル。僕一人では取ることはできなかった」。笑顔で駆け寄り、喜びを分かち合った。

 テレビで見た08年北京五輪で、銅メダル(大会後、繰り上がりで銀)を取る湯元さんにあこがれた。日体大に進み、師事すると「勝つべくして勝たないといけない」と教えられた。練習だけでなく、食事、睡眠、私生活に至るまで隙のない行動を心掛けた。

 減量で苦しい時もそっと寄り添い、戦術や技術だけでなく精神面でも支えてくれた師匠。「ずっと信じてついてきてくれた」と喜ぶ姿が何よりもうれしかった。

 樋口にはもう一人、金メダルを見せたかった人がいる。日体大の同期、文田だ。今大会のグレコローマンスタイル60キロ級金メダリストとは、スタイルは違えど、スパーリングで何度も肌を合わせ、互いに高め合ってきた。「僕の一番のライバル。絶対に負けないと思ってやってきた」

 選手村で金メダルを見せびらかす文田には、「絶対に彼のメダルを触らないと決めて、近づきもしなかった」。うれしい思いを押し殺して、自分を奮い立たせた。

 「彼より素晴らしい内容で勝つと決めていた。今回は引き分けかな」と笑った樋口。一緒に頂点に上り詰めたライバルとの切磋琢磨(せっさたくま)は、これからも続く。