坂本勇人“だれも指摘しない”不調だった原因…元ロッテ名選手が語る「守備転向の難しさ」門脇誠かモンテスか…巨人“ポスト坂本”の重圧

AI要約

坂本勇人の復活やショートの重要性、門脇誠の不振など、巨人優勝の要因について分析された。ショートの固定が優勝チームにとって重要であることが示され、遊撃手の負担やプレッシャーの影響も言及されている。

坂本勇人の後継者として期待された門脇誠の不振や守備面での課題、他の遊撃手候補の出場機会の変化について詳細に解説された。打撃不振や重圧による守備への影響が浮き彫りになっている。

坂本勇人の後釜を巡るプレッシャーや期待、若手遊撃手への比較要求が取り上げられている。歴代の巨人遊撃手との対比や若手選手への過度な期待について議論されている。

坂本勇人“だれも指摘しない”不調だった原因…元ロッテ名選手が語る「守備転向の難しさ」門脇誠かモンテスか…巨人“ポスト坂本”の重圧

 巨人4年ぶりの優勝には坂本勇人の完全復活、安定感のあるショートの台頭が欠かせない。現役時代、遊撃手としてロッテで球団史上最多の1204試合に出場した水上善雄が「誰も指摘しない坂本が不調だった理由」「突然の復調のなぜ」「門脇誠が不振に陥った原因」をNumber Webで分析した。【全2回の2回目】※敬称略。肩書きなどは当時。記録は8月9日現在

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 ショートの固定は、ペナント制覇に必須である――。過去10年の優勝チームを調べると、20例中16例で、遊撃の先発出場の8割以上を1人の選手が占めていた。2016年からの広島3連覇では田中広輔が3年連続フルイニング出場。ソフトバンクの優勝4度のうち3度は今宮健太、西武の連覇では源田壮亮、巨人の連覇では坂本勇人が9割以上守った。

「昔から言われるように、センターラインの安定したチームは強い。中でも、ショートの役割は重要です。昨年、阪神は木浪聖也を固定できて、日本一になれた。かつて黄金時代の広島には高橋慶彦さん、西武には石毛宏典さんがいました」

 巨人の遊撃には2008年から16年間に渡って、坂本勇人が君臨していた。その間、MVP、首位打者、最多安打を1度ずつ獲得し、7度の優勝をもたらした。しかし、2021年から故障が目立ち始めると、チームも下降線を辿る。そして、ルーキー・門脇誠の台頭があった昨年9月、三塁へコンバートされた。

「ショートはあらゆるケースに備える分、疲労が蓄積されます。捕手が投手に返球する時も暴投を想定してカバーリングに入る。プロではまず起こらないですが、ランナーがいれば絶対に行く。目に見えづらい部分も含め、かなり負担が大きい」

 門脇は昨季、坂本がコンバートに納得せざるを得ないほど好守を連発。阿部慎之助監督は今季、「遊撃・門脇」の固定を明言した。だが、5月10日のヤクルト戦(神宮)から31打席連続無安打。17日広島戦(マツダ)は1試合2失策で途中交代となり、翌18日の同戦で初めてスタメンを外れた。遊撃での出場を見ると、昨季は65試合で2失策だったが、今季は67試合で9失策。最近はベンチを温める機会が増え、7月の遊撃の先発出場はルーキー・泉口友汰が12試合、門脇が7試合、新外国人のモンテスが1試合だった。

「守備の技術が変わることはあり得ません。上手い選手は練習を重ねて、さらに磨かれていく。だから、門脇は『巨人のショート』というプレッシャーに負けたのだと思います。ルーキーの年は無我夢中でプレーできたけど、2年目になってジャイアンツの重みを理解してしまった。しかも、坂本の後継者という位置付けですからね。1年の中で、打てない時期は誰でもある。スランプの時、必要以上に重圧を感じてしまったのでしょう。その連鎖で、守備に悪影響が出てしまったのでは。逆に言えば、泉口は門脇というワンクッションが置かれたことで、助かっている部分もある。モンテスは坂本をよく知らないはず。これは逆に強みになるのでは」

 ゴールデン・グラブ賞に5度輝き、通算2387安打を積み上げてきた坂本の後釜に座れば、ファンはどうしても比較してしまう。巨人では古くは原辰徳が長嶋茂雄や王貞治、近年では小林誠司が阿部慎之助と対比されてきた。

「周りは良い場面ばかり覚えてますからね。でも、坂本だって若い時はよくエラーしていたし、始めから打ちまくっていたわけではない。そこを忘れて、2年目の門脇を脂の乗った頃の坂本と比べるのは酷です」