高校野球“酷暑対策のリアル”「関係者が凍ったペットボトルを」夏の甲子園より試合数が多い地方大会観戦後、高野連担当者に見解を聞くと…

AI要約

各都道府県の高野連は独立した大会であり、夏の甲子園とは異なる存在である。

日本高野連と各都道府県の高野連との関係は密接ではあるものの、別個の組織である。

夏の甲子園に出場する選手数は少ないが、地方の選手権大会には数千校が参加し、暑熱対策の重要性が高い。

高校野球“酷暑対策のリアル”「関係者が凍ったペットボトルを」夏の甲子園より試合数が多い地方大会観戦後、高野連担当者に見解を聞くと…

 阪神甲子園球場100周年の、特別な夏の甲子園が始まった。各府県大会は近年の気候変動による酷暑にどのように向き合ったのか。《全2回の2回目/#1からつづく》

 都道府県の高野連の関係者と話していて「夏の甲子園の予選が」と口にすると「違います。〇〇県選手権大会です」と訂正されることが多い。

 夏季に行われる各都道府県の選手権大会の優勝校が「全国高等学校野球選手権大会」に出場できるのはその通りだが、都道府県の選手権大会と「夏の甲子園」は、独立した別個の大会である。

 都道府県の高野連は、日本高野連に加盟している。当然、密接な関係にあるが、上意下達で動く組織ではなく、別の法人だ。

 各都道府県高野連は別個の歴史を有し、運営形態も異なっている。日本高野連は公益財団法人だが、多くの都道府県の高野連は一般財団法人である。本部も、連盟トップが勤務する学校であったり、ビルの一室であったり、新聞社内であったり様々だ。そうした組織が寄り集まって硬式、軟式の「男子高校野球」を統括している。

 金属バットの改定、ホームページのリニューアル、甲子園大会の試合開始時間の変更など、今年に入って、日本高野連は矢継ぎ早に改革を推進している。これらは都道府県高野連が導入することを前提としているが、導入に至る経緯は各高野連によって異なっている。改革は、日本高野連が大方針を打ち出し、47都道府県の高野連がそれに従って現実的な方法論で推進する図式である。

 夏の甲子園の試合開始時間の変更は「暑熱対策」の一環だが、この施策も、各都道府県高野連がそれに倣って独自の対策をすることが前提になっている。

 夏の甲子園に出場するのは49校、試合数は48、選手数は980人だが、地方の選手権大会には日本高野連発表で、3798校が参加している。ベンチ入りしない部員も含めれば部員数は12万7031人に及ぶ。試合数もはるかに多く、「暑熱対策」一つとっても甲子園よりも、各都道府県の大会の方が重要なのは言うまでもない。