理想貫き、悔いなき銀 15歳開、色は同じでも―スケートボード〔五輪〕

AI要約

15歳の開が五輪でメダルを獲得し、理想の滑りを披露した。

身長が伸びスピードも上がり、技の難易度も高まった開は、自身のスタイルを貫きながら競技に臨んだ。

過去最年少メダリストとして五輪に出場し、再度メダルを手にした開は、成長と努力の結果を示した。

 受け取ったメダルの色は3年前と同じ。

 それでも表彰式を終えた開はすがすがしい表情で言った。「本当に後悔のない大会。過去一番うれしい」。負けず嫌いで1位にこだわってきた15歳がそう言えたのは、五輪の舞台で理想の滑りを演じ切れたからだった。

 華のある空中技に頼らず、コースの縁を使った細かなボードさばきで魅せるのが開ならではのスタイル。予選からそれを貫いて高得点を重ね、決勝は2本目を終えて91.98点でトップ。ブラウンとトルーの強敵2人が3本目に豪快な技で勝負をかけ、開を上回る点数をマークしてきた。自身が3本目を滑る前にメダルは確定したが、最後まで攻めようとした。「自分で決めたものを出し切ろう」

 滑走順が最後とあって会場の視線を一身に浴びた。それまで失敗していた大技、空中で板を蹴って1回転させる「フリップインディ」を残り10秒を切ったところで成功。ずっと出したかった技がここぞで決まり、得点をさらに上積みする92点台。頂点には届かなかったが、戦いを終えた他の選手と抱き合って喜んだ。

 東京五輪の時より身長が20センチほど伸び、スピードに磨きがかかった上に高さのあるセクション(構造物)で技を仕掛けやすくなった。短期間で急激に身長が伸びると対応に苦慮する選手もいるが、「悪くなったことは何もない。高い方がすらっと見えるから」と笑う。

 五輪がどんな舞台なのかさえ分からないまま出場し、日本の五輪最年少メダリストになったのが3年前。当時は「奇跡だった」というが、「今回はすごくメダルを取りたいという気持ちでやって、全てを出し切ることができた」。スタイルを追求した先でつかんだメダルは、重みが違った。