男子100mで9秒96をマークしても準決勝を突破できなかったサニブラウン 日本は世界から遠ざかっているのか?【パリ五輪陸上競技4日目】

AI要約

男子100m競技が非常に高いレベルで行われ、決勝までの道のりが厳しい状況が語られた。

サニブラウン選手が世界のレベル向上を感じ、今回の五輪100m競技の特異性について述べられた。

選手たちの力量や気象条件が競技結果に大きな影響を与えていることが指摘された。

男子100mで9秒96をマークしても準決勝を突破できなかったサニブラウン 日本は世界から遠ざかっているのか?【パリ五輪陸上競技4日目】

パリ五輪陸上競技4日目の8月4日、男子100mの準決勝と決勝が行われた。

準決勝ではサニブラウン アブデル ハキーム(25、東レ)が9秒96の日本歴代2位をマークしたが、3組4位で決勝に進めなかった。従来の決勝に進めなかった最高記録は10秒00だが、今大会では9秒95を出しても準決勝を通過できないほど、男子100mのレベルが上がっている。

決勝はN.ライルズ(27、米国)が9秒79の自己新で金メダル。2位のK.トンプソン(23、ジャマイカ)も9秒79の同タイムの激戦だった。7位まで9秒8台、8位まで9秒台は同一レースでは過去最多人数だった。

過去最高レベルという評価もできたが、大会記録(9秒63=12年ロンドン五輪のウサイン・ボルト=ジャマイカ)とは少し開きがあった。男子100mの世界の状況と、日本勢の現状を考察した。

■サニブラウンが感じた世界のレベル向上

準決勝レース後のインタビュー中のやりとりでのこと。「世界のトップとの距離は縮まっているでしょうか」と質問されたサニブラウンは、「そうですね、うーん」と少し考えてから続けた。

「縮まってるのは縮まってるんですけど、世界もどんどん先に行ってるんで、ちょっとずつ追いつくだけでは足りないな、と身に染みて感じました」

前述のように五輪でも世界陸上でも、準決勝を9秒台で走れば100%決勝に行くことができた。それが今回は、日本記録と同じ9秒95の選手が決勝に行けなかった。

さらに決勝でも、7位が9秒88、8位が9秒91と、着順別最高記録だった。五輪、世界陸上、ダイヤモンドリーグ、全米選手権などが9秒台が量産される大会だが、そのどの大会でも同一レースで8人が9秒台を出したことはなかった。

力のある選手は五輪&世界陸上の決勝で、気象条件が悪くなければシーズンベストを出す確率が高い。だが準決勝をいっぱいで通過する選手は、自己記録では9秒台を持っていても、決勝では記録が悪くなる。五輪&世界陸上の決勝で9秒台が最大で6人、4~5人が平均になっているのはそういう理由があるからだ。