きっかけはダルビッシュ有の動画だった 1軍定着を目指すソフトバンクの7年目右腕が二つのグラブを使い分ける理由

AI要約

尾形崇斗投手が独自のアプローチで成績を向上させていることが明かされる。

異なる形状のグラブを使い分けることで、フォームの安定性が向上し、速球も生きている。

尾形の独自の取り組みやエピソードが試合をより楽しくする要素になっている。

きっかけはダルビッシュ有の動画だった 1軍定着を目指すソフトバンクの7年目右腕が二つのグラブを使い分ける理由

 やっぱり彼は面白い。7年目のソフトバンク尾形崇斗投手(25)のことだ。今季1軍初昇格直後のある日、本拠地での試合前練習。ピンク色の二つのグラブを持ちながら明かしてくれたのは、前例なき「脳」へのアプローチ方法だった。

 昨年の終わりごろから、形状の異なるグラブを使い分けるようにしたという。そのきっかけは日米通算200勝以上のダルビッシュ(パドレス)の動画だった。動画では同じ動きを繰り返すと、あえてその動きを崩そうと脳が働く、という話があった。一方でプロスポーツの世界では最適なフォームを繰り返すこと、再現性が重要視されている。それを妨げうる作用の存在に尾形は考えを巡らせた。

 目を付けたのはグラブで感じる〝違和感〟だった。二つのグラブは閉じる向きが違う。親指と小指を使う横方向と、中指などと親指を使う縦方向に分かれる。それを1カードごとに使い分ける。「これじゃないと投げられないというのをなくした」。左手の違和感が、体の慣れを防ぐ。効果はてきめん。フォームは安定し、常時150キロ台後半の速球が生きた。

 昨季の1軍登板時は投げるたびに帽子が外れていたが、今季は目が帽子に引っ張られるほど小さくしたという。そんな、えっ、と驚かされるエピソードも多い右腕。右肩のコンディション不良から立ち直り、7月にようやく1軍昇格を果たした。そんな尾形がどちらのグラブを今日は使っているのか。注目点が増えると、試合を見るのがより楽しくなるかもしれない。

(鬼塚淳乃介)