女子バスケ「走り勝つシューター軍団」は1次リーグ“2位通過”がパリ五輪表彰台の絶対条件

AI要約

女子バスケット代表が目指す金メダルへの挑戦

恩塚監督率いるチームの戦術と選手層の強化

厳しいグループリーグを突破し、メダル獲得への道

女子バスケ「走り勝つシューター軍団」は1次リーグ“2位通過”がパリ五輪表彰台の絶対条件

 自国開催だった前回の東京五輪で快進撃を続け、史上初の銀メダルを獲得した。トム・ホーバス現男子代表監督の後を受けた恩塚亨監督のもと、前回を上回る金メダルを目指す女子代表の行方をスポーツライターの小永吉陽子氏が占う。(7月18日発行、日刊ゲンダイ臨時特別号 パリ五輪完全ガイドに収録)

■女子バスケット

 今回のメンバーは2大会ぶりに代表復帰したベテランPGの吉田亜沙美(36)を含め、メンバー12人全員が五輪経験者。恩塚監督はスピードと3Pシュート、粘り強い守備を重視した「走り勝つシューター軍団」を編成した。

■12人の経験者が揃い攻守とも「停滞しない」成熟したチーム

「東京五輪でも主力だった町田、高田、宮沢、林らに加え、山本(24)、馬瓜ステファニー(25)らの若手が加わり、バランスのいいチームになりました。恩塚監督の就任後、しばらくは選手が戦術に対応できず、22年のW杯(豪州)は1勝4敗でグループリーグ敗退に終わるなど結果を残せませんでした。徐々に戦術が浸透し始め、今年2月の五輪最終予選で『走り勝つシューター軍団』が機能し、出場権獲得につながりました。恩塚監督は『停滞しない』オフェンス、ディフェンスをテーマに掲げ、足を動かし続け、考える速度を上げることを選手に徹底し、完成度の高いチームに仕上げたと思います」

 2大会連続のメダルがかかる今回の1次リーグは8連覇を狙う米国(世界1位)、ベルギー(同6位)、ドイツ(同19位)と同じC組に入った。日本は世界9位だ。

「前回、決勝で敗れた米国だけでなく、ベルギー、ドイツも侮れない相手です。ベルギーは東京五輪の準々決勝で日本に敗れましたが、エースのミースマンら主力メンバー以外も大きく成長し、選手個々の経験値が増しています。昨年は初めて欧州選手権を制し、チームとしても成熟している。日本より世界ランクが低く、格下と見られているドイツも自国で開催する26年W杯に向けて強化を図っており、今回は五輪最終予選を勝ち抜いて初出場を決めた。いずれも実力のあるチームで、米国以外が三つ巴で8強入りを争う『死の組』と言っていいでしょう」

 決勝トーナメントには各組の上位2チームと、3位の上位2チームが進出。「死の組」を突破するには絶対女王である米国以外の2チームから確実に勝ち星を挙げるのが最低のノルマとなる。

「メダルを狙うには、同組1位で決勝トーナメントに進出する可能性がある米国との対戦を避けるため、2位で勝ち上がる必要があります。3位で進んだ場合、他の組の1位と準々決勝で当たることになり、厳しい戦いを強いられるからです。もちろん、米国に負けるにしても、得失点差での1次リーグ敗退を免れるには極力、失点を防がなければなりません」(※日本時間30日未明の初戦・米国戦は76-102で大敗)

 パリでも「走り勝つシューター軍団」は世界を震撼させられるか。