「私もこれ、できるじゃん」で金メダル!?…女子スケボー・吉沢恋(14歳)と赤間凛音(15歳)“本当の関係” 2人に見た「東京五輪のデジャヴ」とは?
東京五輪で金メダルを獲得した吉沢恋と、同い年のスケートボード選手赤間凛音。過去の結果や出場歴などを通して、両者の未来を考察する。
吉沢恋は急成長を遂げ、パリ五輪では金メダルを手にする。一方、赤間凛音は出場は叶わなかったものの、安定感抜群で日本シーンを牽引してきた。
コンテストのシーンにおいては、年齢が同じでも世代が異なり、実際の競争が少ないことが示唆される。
「3年前のデジャヴ」
パリ五輪スケートボード女子ストリートの結果を見て、直感的にそんなことを思った。
金メダリスト吉沢恋(ここ)と銀メダリスト赤間凛音(りず)は共に2009年生まれ(※学年は赤間がひとつ上)である。 それなのに一体何がデジャヴだったのか。ヒントはこの1枚の写真にある。
この写真は日本スケートボード協会が2018年に開催した全日本レディース選手権での表彰の様子だ。真ん中が当時9歳で優勝を果たした赤間凛音なのだが、右は東京五輪の金メダリスト西矢椛で、左は昨年末の世界選手権を制した織田夢海。
赤間は3年後の金メダリストを抑えて優勝を飾っているにもかかわらず、吉沢恋は表彰台に立っていないどころか出場すらしていないのだ。
これが何を意味するのかというと、年齢はほぼ同じでもコンテストのシーンにおいては世代が違うということだ。同い年のメダリストということで一見するとライバル関係を思い描きがちだが、現実的に両者の交錯は近年にいたるまでほとんどないのだ。
赤間は出場は叶わなかったものの、東京五輪の選考レースにも参戦しており、パリ五輪の予選大会もケガ明けだった大会を除き全て4位以上と抜群の安定感で日本シーンを引っ張っていたのに対し、吉沢は東京五輪以降に出てきた新星で、直前まで今大会は出場権獲得にはギリギリ届かないのではないかと言われていた。
それが今年に入り急成長を見せての金メダル。パリ五輪に至るまでの2人の過程は3年前の東京五輪にエースとして参戦した西村碧莉と、上り調子だった西矢椛に重なって見えたというわけだ。
そもそも吉沢のコンテスト初出場は2019年の11月。その後はコロナ禍もありコンテストが開催されない日々が続いていたので、
秘めたポテンシャルを発揮できる機会が訪れなかったのだが、その間に習得したトリックが彼女の運命を変えることになった。
それは「ビッグスピン・フロントサイドボードスライド」。これだけ聞いても理解できる人はほんのわずかだと思うが、東京五輪で西矢椛の金メダル獲得を決定的にしたトリックといえば、ことの重大さがわかるだろうか。
このトリックは東京五輪以前から西矢の得意技として知られてはいたのだが、当時はSNSをやっていなかった吉沢はそのことを知らなかっただけでなく、自分のスキルがガールズでどのレベルにあるのかも把握できていなかった。
顔を合わせるのは地元相模原市にある小山公園スケートパークの先輩達。
そこには2大会連続五輪出場を果たし、世界選手権も制した白井空良や、ガールズシーンのトップをひた走ってきた藤澤虹々可など錚々たるメンツが揃う。そんな環境下にいれば上達するのは必然だった。