五輪柔道連覇の阿部一二三に万雷の拍手「これが五輪なんだ」 磨いた足技発揮し、進化示す

AI要約

阿部一二三がパリ五輪男子柔道66キロ級で優勝し、喜びを表現

阿部はライバルを圧倒し、決勝でリマを破る快勝を収めた

苦難を経て進化した阿部が金メダルを手にし、喜びを感じる

相手に礼をして敬意を示した後、顔を上げると万雷の拍手と歓声が沸き起こった。パリ五輪第3日(28日)柔道男子66キロ級を制した阿部一二三(パーク24)は「360度見渡して、全員が祝福してくれている。これが五輪なんだ」。3年前の東京五輪は無観客開催の中での戴冠。王者は改めて価値をかみしめ、両手を突き上げた。

世界最高の舞台でライバルたちを圧倒した。一本勝ちこそなかったものの、全4試合で投げのポイントを奪う快勝だった。決勝はリマ(ブラジル)を隅落としと袖釣り込み腰で2度転がした。準々決勝では大内刈りでポイントを奪うなど、磨いてきた足技も存分に発揮。「東京五輪のときはがむしゃらで、前、後ろ(の技)はよかったと思うけど、今回は足(技)も出して、横もやってきたことを出せた」。3年前にも「最強」の称号を手にしていた王者が、さらに進化した姿を見せつけた。

一方で「この3年間、苦しい思いの方が多かった」と振り返る。積み重ねた勝利が、いつしか自分を苦しめていた。勝って当たり前と思われる重圧に打ち勝つには練習しかなかった。「トレーニングをしても不安だし、強くなってるのかなと思っていた」と抱えていた胸中を明かした。

妹の阿部詩が2回戦で敗退した重圧もはねのけながら、つかんだ栄光。「五輪という舞台でやっと報われたのかな」。自身2つ目となった金メダルを見つめ、喜びに浸った。(大石豊佳)