金メダル・角田夏実、苦しい減量から「やっぱり52キロ級で」繰り返し訴える 「もう1回考えろ」許さなかった監督【パリオリンピック】

AI要約

柔道女子48キロ級で角田夏実が20年ぶりの金メダルを獲得。山田監督の後押しを受け、階級変更への決断が成功を呼ぶ。

苦しい減量を乗り越え、世界選手権で3連覇を果たした角田は、パリ五輪で金メダルを手にした。

角田の父親も、山田監督のサポートに感謝し、夏の五輪で日本勢通算500個目のメダルにもなった。

金メダル・角田夏実、苦しい減量から「やっぱり52キロ級で」繰り返し訴える 「もう1回考えろ」許さなかった監督【パリオリンピック】

◇27日 パリ五輪 柔道女子48キロ級

 柔道女子48キロ級で角田夏実(31)=SBC湘南美容クリニック=が金メダルを獲得した。同階級での日本勢の金メダルは、2004年アテネ五輪で「ヤワラちゃん」こと谷亮子が獲得して以来20年ぶり。快挙の裏には五輪への思いを胸に、2019年秋に下した決断があった。

 「そっか、もう1回考えろ」。所属先の山田利彦部長兼総監督(当時・監督)は、階級変更に悩む角田を何度も後押しした。東京五輪出場を懸けて主戦場とした52キロ級では、阿部詩、志々目愛と三つどもえの争いを繰り広げていた。48キロ級に変更すれば「頑張れば渡名喜(風南)選手とのマッチレースに持っていける」とにらんでいた。

 角田は19年9月の全日本実業団個人選手権で48キロ級に初チャレンジして優勝。その一方で、減量の苦しさから階級変更に前向きになれず、試合後に「やっぱり52キロ級でいきます」と言った。それでも山田監督は十分戦えていたと判断。「48キロ級で161センチの身長はアドバンテージになる。世界で戦う相手ともタイプ的にやれて、ともえ投げで十分勝負できると思う。十分適性はあるよ」と繰り返した。翌日にも「52キロ級で」と話す角田に対し、「じゃあもう1回考えてみろ」と伝え、首を縦に振らなかった。

 最終的には階級変更を決断。同年10月のグランドスラム・ブラジリアの52キロ級で3位だったのを最後に、同年11月の講道館杯から本格的に48キロ級に参戦した。東京五輪出場はかなわなかったものの、2021年から世界選手権で3連覇を果たし、パリ五輪へとつながった。

 金メダルを手にした角田は「減量しているときは、最後の方は何やってるんだろうなって思うぐらいきついときもあるが、全部終わってみたらきつさを忘れちゃうぐらい良かったなって思う」としみじみ。父親の佳之さんも「諦めないで続けて本当によかった。山田監督が『48に落とせ』と言ってくれたおかげです」と感謝した。夏の五輪で日本勢通算500個目とメモリアルなメダルにもなった。五輪への執念を夏のパリで実らせた。