バスケ五輪代表・富永啓生(23歳)はなぜ「高卒→アメリカ行き」を決断できたのか…「尊敬している」渡邊雄太がかけた“ある言葉”とは?

AI要約

パリオリンピック開幕を迎えたバスケ日本代表チームのエースシューター富永啓生選手の想い

日本代表として戦うことの名誉さとファンへのプレーの機会に対する熱い思い

個人とチームとしての目標を持ち、オリンピック出場への意欲を燃やす姿勢

バスケ五輪代表・富永啓生(23歳)はなぜ「高卒→アメリカ行き」を決断できたのか…「尊敬している」渡邊雄太がかけた“ある言葉”とは?

 ついに開幕を迎えたパリオリンピック。NBA選手を擁する強豪国がひしめく中で、バスケ日本代表チームも格上たちに戦いを挑む。そんなチームのエースシューターである富永啓生選手の著書『楽しまないと もったいない』(ダブドリ)から一部転載で、富永選手の日本代表への想いをご紹介します。(全2回の第1回/つづきを読む)

 日本代表に対する僕のモチベーションは高い方だと思う。

 まず、国を代表して戦うのは名誉なことだ。それに加えて、僕にとってはもう一つ代表で戦う理由がある。高校を卒業してすぐに渡米したので、僕のプレーを日本のファンの皆さんに観てもらう機会が少ないと感じているのだ。

 特に今回のワールドカップの開催地は沖縄である。皆さんの声援を受けながらこのような大舞台でプレーできるということに、大会前から僕の胸は高鳴っていた。

 その上、今回のワールドカップは個人としてもチームとしても、ただの大舞台以上の価値があった。

 まず、僕個人としては少しでもNBAのスカウトに名前を売りたいという気持ちがあった。名前を売るという点においてワールドカップは絶好の機会だ。幸い僕がホーバスさんから求められていることは得点なので、個人としての成功がチームの成功に直結する。得点することで将来を切り開くことができるし、それがチームを勝たせることにもつながるのだ。

 チームとしては、パリオリンピックの切符を掴むというのが目標だった。

 FIBAは、大陸ごとのレベル差という問題を抱えている。ヨーロッパが最もレベルが高く、アメリカがそれに次ぐ。残念ながらアジアとアフリカはまだヨーロッパやアメリカと肩を並べるレベルには達していない。カンファレンスごとにレベル差のあるNCAAと似た状況だ。

 ただし、複雑なNCAAと違い、オリンピック出場枠を決めるシステムは明快である。ワールドカップの成績が大陸ごとに仕分けされ、上位の国が出場権を得る。大陸によって枠の数が違い、ヨーロッパとアメリカは上位二ヶ国が、アジア、アフリカ、オセアニアは最上位の成績を残した一ヶ国だけがオリンピックへの切符を手に入れることができるのだ。

 つまり、ワールドカップに出場するアジアの国の中で最も良い成績を残すことができれば、日本はパリオリンピックへ出場することができるということになる。

 個人としてもチームとしても目標が明確だったおかげで非常にモチベーションを上げやすかったのだが、大会直前に僕のモチベーションをさらに上げる出来事があった。