同い年の河村勇輝から「打ち続けるのがトミーの仕事だから」と…パリ五輪バスケ代表・富永啓生(23歳)が振り返る“スランプ”からの脱出劇

AI要約

パリオリンピックが開幕し、バスケ日本代表チームが強豪国との戦いに挑む中、エースシューターの富永啓生選手がフェイスガードとの戦いを通じて成長を果たす。

初戦でのドイツ戦ではフェイスガードをつけられ、NBA入りを果たす可能性が高いフランツ・ワグナーとの対戦が印象的だった。

富永選手はフェイスガードの中でも果敢にシュートを放ち、次の試合でリードされる場面でもチームを救う活躍を見せた。

同い年の河村勇輝から「打ち続けるのがトミーの仕事だから」と…パリ五輪バスケ代表・富永啓生(23歳)が振り返る“スランプ”からの脱出劇

 ついに開幕を迎えたパリオリンピック。NBA選手を擁する強豪国がひしめく中で、バスケ日本代表チームも格上たちに戦いを挑む。そんなチームのエースシューターである富永啓生選手の著書『楽しまないと もったいない』(ダブドリ)から一部転載で、富永選手が昨年のW杯で印象に残ったシーンをご紹介します。(全2回の第2回/最初から読む)

 まず、初戦はその後大会を制することになるドイツと対戦したのだが、この試合が僕にとっては一番の衝撃だった。ドイツは僕にフェイスガードをつけてきたのだ。さらに驚いたことに、第1クォーターの終わりにはフランツ・ワグナーが僕のマークについた。

 フランツと言えば2021年に全体8位という上位指名を受けてNBA入りしたスター候補だ。208cmという長身ながら運動能力も高く、ペリメーターでプレーするスキルもある。2年目の2022-23シーズンには平均18・6点を挙げており、将来オールスターに入ってもおかしくない。

 そのフランツも、僕のマークにつく間はフェイスガードだった。

 練習期間の短い代表ではどうしても戦術はシンプルになるし、引き出しも少なくなる。僕をフリーにするセットがいくつもあるネブラスカと違い、ある程度アドリブでマークマンを引き剥がす必要があったが、それができなかった。

 この試合の僕のスコアはスリーポイント1本とフリースロー2本の計5点止まりだった。全て試合の趨勢が決まった時間帯でのものだったが、0点に終わるのと1本でもシュートを決めるのとでは気持ちに大きな違いがある。

 現時点ではドイツのフェイスガードを攻略できなかったものの、集中力を切らさずに次の試合に繋がるシュートを決めることができたのは良かった。

 二戦目のフィンランド戦では、満足のいくパフォーマンスをすることができた。スリー4本を含む17得点というスタッツも上出来だが、中でも第3クォーターにフィンランドに18点リードされ、得点を求められた場面で2本シュートを決めることができたのは良かった。

 また、この大事な試合で最後までコートに立てたのも収穫だった。スタメンにこだわりが無いと言えば嘘になる。正直に言えばスタートで出る方がプレーしやすい。しかし、何より大事なのは試合が決まる瞬間にコートに立っていることだと思っている。