鷹・近藤健介は今季こそ3冠王に輝けるか 大幅改善した「22.31」…ポイントは打点

AI要約

近藤健介外野手はソフトバンクで圧倒的なバッティングを見せ、3冠王の可能性を残している。

日本ハム時代はアベレージヒッターだったが、移籍後は本塁打が増加し、出塁率や選球眼の指標も優れている。

本塁打や長打率、選球眼などの指標が改善され、偉業の達成が期待される。

鷹・近藤健介は今季こそ3冠王に輝けるか 大幅改善した「22.31」…ポイントは打点

 ソフトバンクの近藤健介外野手が、今季も圧倒的なバッティングを見せている。移籍1年目の2023年はシーズン最終盤まで3冠王の可能性を残したが、今季もリーグトップの打率.328、リーグ2位タイの13本塁打、リーグ3位の49打点と、主要3部門全てでタイトル争いを繰り広げている。今回はこれまでの球歴に加えて、各種の指標に基づく選手としての特徴と、移籍前後における打撃の変化を分析。3冠王という偉業が達成される可能性について掘り下げていきたい。(記録は7月19日終了時点)

 近藤は2011年ドラフト4位で日本ハムに入団。ポジションは捕手だったが、プロ入り後は三塁手や外野手として出場機会を確保。4年目の2015年には主に指名打者として129試合に出場し、リーグ3位の打率.326とブレークした。2017年には57試合の出場ながら打率.413という驚異的なハイアベレージ。2018年以降は6年間で5度の打率3割超え、2019年と2020年には2年連続で最高出塁率のタイトルを獲得。押しも押されもせぬ、リーグ屈指の好打者へと成長を遂げた。

 日本ハム時代はアベレージヒッターとしての趣が強かったが、2023年にソフトバンクへ移籍して以降は本塁打が飛躍的に増加。同年は26本塁打、87打点で本塁打王と打点王の2冠に輝き、自身3度目の最高出塁率も受賞。打率もリーグ2位の.303という数字を記録し、打者としてのさらなる進化を示している。

 キャリア通算の出塁率は.417と、球界全体を見渡しても極めて優秀な水準に達している。打率と出塁率の差を示す「IsoD」もキャリア通算で.109と非常に優れており、打撃技術の高さに加えて、四球を選ぶ能力も卓越していることが示されている。それに加えて、四球を三振で割って示す、打者の選球眼を示す指標「BB/K」も、通算で1.053と非常に高い値を叩き出している。選球眼に関する指標がおしなべて優れている点からも、3度の最多出塁率に輝いた近藤の出塁能力の高さがうかがえよう。

 一方で、日本ハム時代の近藤はシーズン2桁本塁打を記録したのが1度のみと、決して本塁打が多いタイプの打者ではなかった。この点は本塁打を1本放つのに必要な打席数を示す「AB/HR」という指標にも示されており、比較的この指標が高かった2021年と2022年においても、およそ40打席に1本程度の割合にとどまっていた。しかしソフトバンクに移籍した2023年には「AB/HR」が18.92と大幅に改善し、前年までに比べて倍以上のペースで記録していた。2024年は前年に比べるとやや数字を落としているものの、22.31とキャリア平均(44.97)を大きく上回る。

 長打率の面でもキャリア平均の.453という数字に対し、2023年以降は2年続けて.500を超えた。本塁打の増加によって長打率がこれまで以上に向上する一方で、2023年にはキャリア最多タイとなる33本の二塁打を放つなど、中距離打者としての特性が維持されている点も特筆すべき要素だ。そして長打率から単打の影響を省いた、真の長打力を示す指標とされる「ISO」に関しても同様の傾向が見られる。キャリア通算は.145で、2022年までは.200を超えたことは一度もなかったが、移籍後は2年続けて.200以上のISOを記録。長打力の向上は、各種の指標においても裏付けられているといえよう。