【MotoGP】未勝利続くKTM、開発不足で”天井”にぶち当たっている? 「シャシーは昨年のミサノと同じ」とライダー暴露

AI要約

KTMは2024年シーズン序盤に表彰台を獲得するも、トップ争いから遠ざかっている。バイクの問題は開発の停滞が原因である可能性が高い。

ライダーたちのコメントから、KTMの不足している要素はグリップと旋回性であることが明らかになっている。バランスの改善が必要である。

新加入の選手や来シーズンの展望も含め、KTMはパフォーマンス向上のために必要なアップデートを行い、トップとの差を縮める必要がある。

【MotoGP】未勝利続くKTM、開発不足で”天井”にぶち当たっている? 「シャシーは昨年のミサノと同じ」とライダー暴露

 KTMは2024年シーズンの序盤こそ表彰台を獲得していたものの、徐々にトップ争いから遠ざかってしまった。今、KTMの抱えている課題には何があるのだろうか。

 KTMが最後にMotoGPで勝利したのは2022年終盤戦まで遡る。2023年は表彰台を争ったが未勝利で、2024年もシーズン開幕直後は上位で表彰台も獲得していたが、ドゥカティとアプリリアに敵わない状況が続いた。

 前半戦の締めくくりとなる第9戦ドイツGPでは、アコスタが陣営トップの7位でフィニッシュ。トップからは14秒差だった。なお第8戦オランダGPでもKTM最上位はブラッド・ビンダーの6位であり、トップからは16秒差をつけられていた。

 アメリカズGPでペドロ・アコスタ(GASGAS)が表彰台を獲得して以来、トップ5には1度しか入ることができていないという結果は、KTMの苦戦を如実に表していると言えるだろう。

 KTMファクトリーチームのジャック・ミラーは、苦戦するKTMの内情についてドイツGP後に次のように明かした。

「僕らは昨年のミサノと基本的に同じパッケージを使っているんだ」

 ミラーはそう語る。

「常に“天井”がある。だから開発をして、天井をさらに上に押し上げていくための改善が必要なんだ」

「昨年のミサノと同じシャシーを使っている。去年、カーボンファイバーを最初に追加した時から、それを使っているんだ。でも調整や変更などは何も行なっていない」

「もっと高い目標を設定するためにも、バイクにはまだ取り組める部分がある」

 KTMはミラーの言うように、昨年はカーボンファイバーを組み合わせたシャシーをシーズン途中に投入。MotoGPパドックにおいても話題となっていた。ドゥカティに追いつくためにも、彼らが開発を進めていることは明らかだった。

 しかしそれから10ヵ月間、KTMがシャシーに手を加えていなかったとすると、開発競争においてどれだけ後れをとってしまったかは想像に難くない。

 ただ当然、やみくもにアップデートをしても、必ずしもパフォーマンスが上がるわけではないことも確かだ。ビンダーは、今のKTMに必要なのは、体系的なプランだとドイツGPで語った。

「確かに、僕らは長いことアップデートがされていなかった」とビンダー。

「それ以上に僕らが必要としているのは、明確にどの方向に進むかを理解することなんだ」

「(ドイツGPで)僕らはバランスについてかなりいろいろと試してきた。そして最後にはこれまでやったことのないことも試していた。あまり意味はないけれど、少しはバイクを良くしてくれた」

「明らかに僕らはもう少し物事を理解して、そして役に立つパーツを投入する必要がある」

 そしてミラーの語るところによると、KTMにはグリップと旋回性がもう少し必要だという。

「僕らはもう少しグリップと旋回性が必要だね」

 ミラーはそう語る。

「トップスピードについては問題ない。エンジンは強力で、空力パッケージもとても強力だ。僕たちはフロントエンドについては理解できているんだ」

「僕らが何をする必要があるかといえば、それは旋回性を良くし、フロントとリヤのグリップを両方高めてよりブレーキを深く、かつ早く立ち上がれるようにして、コーナースピードをもっと上げられないかということになる」

 またこのサマーブレイク期間には、アコスタがKTMのファクトリーを訪問する計画を立てている。今シーズン、ルーキーにもかかわらずファクトリーチームのライダーをともすれば超える活躍を見せているアコスタが、KTMに圧力をかけているとも考えられるだろう。

 なお来シーズン、KTM陣営にはドゥカティからエネア・バスティアニーニ、アプリリアからマーベリック・ビニャーレスが加入する。苦戦するミラーやアウグスト・フェルナンデス(GASGAS)に代わって、彼らがチームを押し上げる助けになりそうだ。

 ビンダーはドゥカティについて“別リーグ”にあるとも表現している。KTMとしては今、バイクがライダーの才能に見合うよう、意味のあるアップデートを行なっていく必要があるだろう。