「目標がなくなる」2027年度に9競技で「全中」廃止 水泳競技でメダリストも戸惑いの声

AI要約

長崎県中総体での水泳競技や全国中学校体育大会の廃止による影響について報道。

佐世保市立日宇中学校の選手、大野鈴河選手の活躍と全国中学校体育大会への想い。

日本中学校体育連盟の競技見直しと水泳関係者の戸惑い、代替大会の模索について。

「目標がなくなる」2027年度に9競技で「全中」廃止 水泳競技でメダリストも戸惑いの声

全国大会や九州大会の出場権をかけた県中総体が長崎で行われ、水泳競技ではオリンピックの銅メダリストも訪れて熱戦が繰り広げられた。日本中体連は水泳を含む9つの競技について、2027年度から「全国中学校体育大会」で実施しないことを発表。水泳関係者からは「目標がなくなる」と戸惑いの声が聞かれた。

2024年度の長崎県中総体(夏季大会)には19競技に5616人が参加した。

長崎市民総合プールで開かれた水泳には318人がエントリー。2位以内で九州大会、標準記録を突破すると全国大会へ出場できる。

注目選手は佐世保市立日宇中学校2年の大野鈴河選手。大会初日には50m自由形と400mリレーで県内2冠を達成した。

100m背泳ぎでは、予選で全国中学校体育大会=全中の参加標準記録である1分05秒80に0.41秒と迫る1分06秒21のタイムを出した。

「全中」出場に執念を燃やす大野選手。決勝で前半50mを31秒41と飛ばす。しかし後半はペースが落ち1分06秒84でフィニッシュ。悲願の全中出場は叶わなかった。

プレゼンターの中尾美樹さん(長崎市出身、シドニー五輪銅メダリスト)から賞状を受け取っても素直に喜べない大野選手。「来年は絶対に標準記録を切って、全中の決勝に残っていいタイムで終われるようにしたい」と次を見据える。実は憧れの中尾さんに「上達する秘訣」を教えてもらったという。それは…

100m背泳ぎ優勝 日宇中学校 大野鈴河 選手(2年):

悔しかったことはノートに書くこと。そして練習から自分の泳ぎが試合で出せるようにしていきたい。

全国中学校体育大会は中学生の育成と技能の向上などを目的に1979年から開催されている。2023年度、夏は16競技、冬は4競技の合わせて20競技が実施された。

「全中」を主催する日本中学校体育連盟は6月、2027年度に20競技のうち9つの競技で実施しないことを発表した。廃止となるのは水泳、ハンドボール、体操、新体操、ソフトボール男子、相撲、スキー、スケート、アイスホッケー。少子化による生徒数の減少や夏の大会の暑さ対策、運営に関わる教員の負担などの課題を踏まえて将来の大会のあり方を検討してきたという。廃止競技の関係者は戸惑いを隠せない。

シドニーオリンピック100m背泳ぎ 銅メダリスト・中尾美樹さん:

全中で優勝させて頂いたが、全国中学は私にとっても中学で1番の目標でもあったので、全国とつくタイトルが無くなりそうなのは寂しいと思う。

長崎県中学校体育連盟水泳競技の冨永亮介専門委員長は「中学生スイマーとしては全中で1位を取るということが大きな目標の1つだと思う。子どもたちのモチベーションが今後どうなるのかという心配はある」と戸惑いは隠せない。

競技団体によっては代替大会を模索する動きもあるなか、日本水泳連盟は7月17日に都道府県の水泳連盟などと今後について意見交換をしたという。

全中が無くなることで九州大会や県中総体への影響を懸念する声もある。長崎県中体連は「全中の見直しに伴い、県中総体の各競技をどうするかは今後の議論。競技団体独自の大会が行われるようになれば団体の負担もあるため見通せない」としている。

(テレビ長崎)