宮田莉朋、オーバーテイク連発で7レースぶりの入賞。幸運掴んだアントネッリが今季2勝目/FIA F2第9戦レース2
アントネッリがFIA F2第9戦で初優勝、宮田が7レースぶりの入賞を果たす。
アーロンのポールポジションからの失速、ハジャルのピットレーンスタートなどドラマが繰り広げられた。
レースはアントネッリの圧倒的ペースで終了し、表彰台はアントネッリ、マルタンス、フェルシュフォーが獲得。
7月21日、2024年FIA F2第9戦ブダペストのフィーチャーレース(決勝レース2)が行われ、アンドレア・キミ・アントネッリ(プレマ・レーシング/メルセデス育成)が今季2勝目、フィーチャーレース初優勝を飾った。宮田莉朋(ロダン・モータースポーツ/TGR WECチャレンジプログラム)は8位となり、7レースぶりの入賞を果たした。
フィーチャーレースのグリッドは19日に行われた公式予選で決定され、フル参戦1年目のポール・アーロン(ハイテック・パルスエイト)が今季2度目のポールポジションを獲得。
フロントロウ2番手にエンツォ・フィッティパルディ(ファン・アメルスフォールト・レーシング)、2列目3番手にポイントリーダーのアイザック・ハジャル(カンポス・レーシング/レッドブル育成)、4番手にガブリエル・ボルトレート(インビクタ・レーシング/マクラーレン育成)が続いていた。
しかし、3番グリッドのハジャルはダミーグリッドにマシンを進めるレコノランスラップに入る前に、事前に定められたピットクローズドの時間を迎えてしまい、まさかのピットレーンスタートへと変わった。これに対し、ハジャルは「なぜこんなことになった?」と無線で不満を口にした。
今大会のタイヤコンパウンドはプライムタイヤがハード(ホワイト)、オプションタイヤがソフト(レッド)となるなか、上位勢の多くはスタートタイヤにオプションを選択。タイヤ交換義務を有する周回数37周、もしくは60分+1周で争われるフィーチャーレースは、気温22.9度、路面温度29.1度というドライコンディションでスタートを迎えた。
抜群の蹴り出しと位置取りを見せたのは5番グリッドスタートのビクトール・マルタンス(ARTグランプリ/アルピーヌ育成)だった。マルタンスは一気に3台をパスすると、ターン1のホールショットを奪う。
一方、蹴り出しが悪かったポールシッターのアーロンはタイヤスモークをあげてターン1でコースオフを喫し、一気に7番手までポジションを下げることに。
これでトップはマルタンス、2番手フィッティパルディ、3番手ボルトレート、4番手は8番グリッドからジャンプアップを果たしたプライムタイヤを履くゼイン・マローニ(ロダン・モータースポーツ/ザウバー育成)、5番手にこちらもプライムスタートのアンドレア・キミ・アントネッリ(プレマ・レーシング/メルセデス育成)というオーダーへ変わった。
トップ3台がオプション、4番手、5番手がプライム勢となるなか、3周目にはマルタンスとフィッティパルディは見応えのあるサイド・バイ・サイドの戦いを繰り広げるが、順位は変わらず。その間に3番手ボルトレートがフィッティパルディとの間合いを縮める。
6周目にはアントネッリがマローニを攻略し、プライムスタート勢のトップに浮上する。しかし、プライム勢2台の争いの最中に、6番手デニス・ハウガー(MPモータースポーツ)、7番手アーロンのオプション勢が接近。
そうして迎えた7周目のターン2でアーロンがマローニのリヤに追突。ドライバーズランキング2位と3位の2台は揃ってコースサイドにマシンを止めたため、セーフティカー(SC)導入となった。追突するかたちとなったアーロンは「自分でレースを終わらせてしまった」と無線で後悔の言葉を口にした。
すでにピットレーンオープンとなっていたことで、オプションスタート勢は総じてピットに入り、プライムに交換。状況はオプションスタート勢が有利な状況に。
トップはアントネッリ(未交換組トップ)、2番手リチャード・フェルシュフォー(トライデント/未交換組2番手)、3番手クッシュ・マイニ(インビクタ・レーシング/アルピーヌ育成/未交換組3番手)、4番手にマルタンス(交換組トップ)、5番手アムーリ・コルデール(ハイテック・パルスエイト/未交換組4番手)、6番手宮田(未交換組5番手)、7番手フィッティパルディ(交換組2番手)、8番手ボルトレート(交換組3番手)というオーダーでレースは11周目に再開された。
そんな11周目のリスタート直後、ボルトレートがフィッティパルディをパスし、7番手(タイヤ交換組2番手)に浮上する。その眼前では宮田が同じくタイヤ未交換/プライム勢のコルデールと激しい5番手争いを展開。
サイド・バイ・サイドの戦いの末、14周目ターン11でコルデールがオーバーランを喫し、宮田は5番手(未交換4番手組)に浮上する。これで宮田は背後にフレッシュタイヤのボルトレートを従える状況に。
DRSが使えない状況の宮田だったが、タイヤをマネジメントしつつ、前年のFIA F3チャンピオンの猛追を抑え込む走りを見せた。その間にボルトレートの背後にはフィッティパルディ、テイラー・バーナード(未交換組5番手)が接近する。
2台の戦いは長時間続いたが、19周目のターン1でボルトレートが宮田をパスし、5番手に浮上する。なお、同じく19周目のターン1では、交換組トップのマルタンスがフェルシュフォーを攻略し2番手に浮上。アントネッリとは6秒差という位置でラップを刻む。
そんななか、22周目にターン4外側の縁石に乗りすぎたコルデールが単独スピンを喫しバリアにクラッシュ。コルデールは自力でマシンを降りたが、これで2度目のSC導入に。このSC中に未交換組の6台はピットインを敢行し、これで全車がタイヤ交換義務を消化。
マルタンス、ボルトレート、フィッティパルディ、ハウガー、アントネッリ(オプション)、フランコ・コラピント(MPモータースポーツ/ウイリアムズ育成)、ザク・オサリバン(ARTグランプリ/ウイリアムズ育成)、オリバー・ベアマン(プレマ・レーシング/フェラーリ育成)、ハジャル、フェルシュフォー(オプション)というトップ10へと変わった。
なお、2度目のSC中にタイヤを変えたマイニは13番手、宮田は14番手でコースに復帰し、オプションタイヤで入賞圏内を目指す展開へと変わった。
27周目にレース再開を迎えると、フレッシュなオプションタイヤを履いたドライバーは一気にスパートをかける。アントネッリはリスタート直後のターン1でハウガーをパス。さらにターン6でフィッティパルディをパスし、わずか1周で3番手まで浮上する。
続けて28周目のターン1でアントネッリはボルトレートを攻略し2番手に浮上すると、そのままマルタンスとテール・トゥ・ノーズという状況に。29周目のターン1でマルタンスを易々とパスすると、アントネッリがラップリーダーへと変わった。
また、宮田もフレッシュタイヤの利点を活かし、30周目には入賞圏内の10番手まで浮上。さらに、31周目にはオサリバン、32周目にコラピントをかわし、8番手となる。
ただ、目の前を走るマイニも同じくフレッシュ目なオプションタイヤだったこともあり、オーバーテイクショーはここまで。
37周を予定していたレースは長時間のSC導入により60分+1周のタイムレースへと変わり、周回数にして36周目となるなか、アントネッリが後続に12秒の大差をつけて、FIA F2通算2勝目、フィーチャーレース初優勝を飾った。
2位マルタンス、3位フェルシュフォーまでが表彰台を獲得。4位ボルトレート、5位フィッティパルディ、6位ハウガー、7位マイニ、8位宮田、9位バーナード、10位ラファエル・ヴィラゴメス(ファン・アメルスフォールト・レーシング)までがポイント獲得。宮田は第6戦バルセロナのスプリントレース以来、7レースぶりの入賞を掴んだ。
2024年FIA F2、次戦となる第10戦は次週7月26~28日にベルギーのスパ・フランコルシャンで開催される。
■2024年FIA F2第9戦ブダペスト
フィーチャーレース暫定結果
Pos./No./Driver/Team
1/4/A.アントネッリ/プレマ・レーシング
2/1/V.マルタンス/ARTグランプリ
3/22/R.フェルシュフォー/トライデント
4/10/G.ボルトレート/インビクタ・レーシング
5/14/E.フィッティパルディ/ファン・アメルスフォールト・レーシング
6/11/D.ハウガー/MPモータースポーツ
7/9/K.マイニ/インビクタ・レーシング
8/6/宮田莉朋/ロダン・モータースポーツ
9/25/T.バーナード/AIXレーシング
10/15/R.ヴィラゴメス/ファン・アメルスフォールト・レーシング
11/23/R.スタネ/トライデント
12/21/J.マルティ/カンポス・レーシング
13/12/F.コラピント/MPモータースポーツ
14/2/Z.オサリバン/ARTグランプリ
15/3/O.ベアマン/プレマ・レーシング
16/8/J.コレア/ダムス・ルーカスオイル
17/7/J.クロフォード/ダムス・ルーカスオイル
18/20/I.ハジャル/カンポス・レーシング
19/24/J.デュルクセン/AIXレーシング
-/16/A.コルデール/ハイテック・パルスエイト
-/5/Z.マローニ/ロダン・モータースポーツ
-/17/P.アーロン/ハイテック・パルスエイト
[オートスポーツweb 2024年07月21日]