トヨタのロバンペラが怒涛の最速連発。勝田貴元はパワステトラブルも“力技”で対処/WRCラトビア

AI要約

TOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチームがラリー・ラトビアで首位を獲得

日本人ラリードライバーの勝田貴元が痛恨のオーバーラン

タナクのゲート衝突などがあったデイ3の激動を振り返る

トヨタのロバンペラが怒涛の最速連発。勝田貴元はパワステトラブルも“力技”で対処/WRCラトビア

 7月20日(土)、WRC世界ラリー選手権第8戦『ラリー・ラトビア』のデイ3が行われ、SS16終了時点でTOYOTA GAZOO Racingワールドラリーチームのカッレ・ロバンペラ/ヨンネ・ハルットゥネン組(トヨタGRヤリス・ラリー1)が総合首位に立っている。日本人ラリードライバーの勝田貴元(トヨタGRヤリス・ラリー1)は、総合7番手で大会三日目を終えた。

 グラベル(未舗装路)が舞台となる初開催WRCラトビアも、この日より大会の折り返しを迎えた。ここまでトヨタのロバンペラと地元出身のマルティン・セスク(フォード・プーマ・ラリー1)が首位争いを繰り広げるなかで幕が開けたデイ3は、サービスパークのある『リエパーヤ』付近東部でSS9からSS16までの全8本を走る。

 さらに今大会の行程は再走ステージが少なく、SS12/14以外には完全に同じ区間を走るループのない構成となる。デイ3のタイヤ選択については、ソフト5本選択が一番多く、セバスチャン・オジエとエルフィン・エバンス(ともにトヨタGRヤリス・ラリー1)、セスクはそのうち1本をハードタイヤとし、ロバンペラはソフト4本にハード2本の6本、グレゴワール・ミュンスター(フォード・プーマ・ラリー1)はソフト6本の使用を選んだ。

■元王者ふたりが加速。勝田は痛恨のオーバーラン

 この日最初のSS9は雲ひとつない青空のもと、20度前後という涼しい気温コンディションでスタート。この日から出走順も入れ替わり、エサペッカ・ラッピ、ティエリー・ヌービル(ともにヒョンデi20 Nラリー1)、ミュンスターとコースインしていく。

 直線区間と中低速コーナーが交互に続くこのステージでは、初日から好調のロバンペラが快速を披露した。土曜時点での総合首位確保を目指し、さらにリードを広げていく。

 5.4秒差の2番手タイムはオジエ、0.1秒差でオット・タナク(ヒョンデi20 Nラリー1)が続き、デイ3を迎えてペースを上げ始めた元王者ふたりも狼煙を上げた。

 さらに長い直線を含むSS10でもロバンペラが最速を刻み、自身200度目のステージウインを飾る。2秒差の2番手にはタナクがつけ、3,4番手に続いたエバンスと勝田のふたりも次第に調子を掴んできた様子だ。

 続いて全長23.04kmとこの日最長のSS11では、タナク、勝田、ロバンペラの順でタイミングボードに並び、タナクは今大会初の最速タイムを刻んだ。そして総合順位にも動きがあり、この日は少し空回り気味なセスクをオジエが上回り総合2番手に、さらにタナクも勝田をパスして4番手に浮上している。

 午前最後のSS12は、広く開けた農耕地帯を駆け抜ける高速グラベルだ。ここでは、ステージ序盤の仮設シケインでコントロールを失った勝田が、路肩の立ち木に衝突してしまった。

 その後、なんとかコースに復帰するもパワーステアリング系統にダメージを負ってしまったようで、WRC公式のコクピット映像では、重くなったステアリングで歯を食いしばりながら操縦を続ける姿が映し出された。最終的には、今大会8度目のステージウインをあげたロバンペラから49.8秒遅れで走破している。

■タナクがゲートに衝突。セスクが表彰台争いで力走

 この日はデイ2と異なり、昼にミッドデイサービスを受けた各クルーはSS13へと向かう。勝田車もパワーステアリングを修復して無事に出走することができた。

 午後最初のSS13は、ジャンピングスポットもある全長10.09km。ここではミュンスターがジャンプの着地で土手に乗り上げるシーンも見られたが、各車無事に完走し、ロバンペラが午後の主導権を握るステージウインをあげた。またセスクも3番手タイムを記録し、タナクから総合3番手を守るべくペースを上げる。

 続くSS14は、午前最後に実施されたSS12のループステージ。午前には勝田がタイムロスを喫していたが、午後は5番目にコースインしたタナクがバナーゲートに衝突してしまい、マシンに伸縮性のゲートが覆いかぶさってしまってセッションが一時中断となった。

 結果としては、マシンを停めたタナクに加え、この時点でコースに入っていたフルモーと勝田を含めた3台にノーショナルタイム(救済措置としての想定タイム)が与えられた。

 その後、身動きが取れなくなっていたタナク車の移動が完了し、セッション再開となって残るクルーも続々アタックへ。SS14の最終的なトップタイムはロバンペラとなり、2番手にはノーショナルタイムのタナクがつけた。

 残る2本のステージはショートディスタンスのSS15とSS16で、ともに10kmよりも短い距離を争う。長い直線区間も含む全長6.64kmのSS15は、トップからオジエ、ロバンペラ、勝田と僅差で続いたトヨタ勢がトップ3を占めている。

 最後のSS16は、サービスパークのある『リエパーヤ』近郊のターマック(舗装路)セクションを走る2.56kmのステージ。ここではロバンペラがこの日6度目のトップタイムをマークし、デイ3を締めくくった。また、トラブルから完全復調の勝田も0.1秒差で2番手につけている。

 さらに、ステージ自体の道のり自体は短かったものの、タナクが小規模のジャンピングスポット後にハーフスピンを喫する場面もあった。その結果、表彰台の一角を争っていたセスクがオジエに次ぐ総合3番手を守り抜くこととなった。

 2024年シーズンより導入された新ポイントシステムでは、土曜日時点と日曜日のみのそれぞれの順位でポイントを振り分ける。今回の土曜日時点での総合首位はロバンペラ組となり、暫定18ポイントを獲得。このポイントは日曜日を完走することで正式に付与される。

 WRC2クラスは、依然トップに立つオリバー・ソルベルグ(シュコダ・ファビアRSラリー2)が約30秒ほどのリードをコントロール。2番手にはトヨタGRヤリス・ラリー2を駆るミッコ・ヘイッキラとサミ・パヤリがつけ、10秒以内の僅差でポジションを争っている。

 いよいよ大会最終日となるデイ4は、SS17からSS20までの全4本が予定されている。全ステージの総走行距離は64.08km、リエゾン(公道区間)も含めた総距離は255.97kmだ。

[オートスポーツweb 2024年07月21日]