2025年末の世界挑戦へ那須川天心、真価問われる世界ランカー対決

AI要約

無敗のプロボクサー那須川天心の次なる試合が近づく中、彼の3年計画に向けての準備が進行中であることが明らかになった。現在のランキングや戦略について詳細に説明されている。

那須川はキック出身の格闘家だが、ボクシング転向後の成長が著しく、今回の対戦相手は元世界王者であり、高いレベルの相手である。

将来的な目標は4団体統一であり、彼自身の強い意志と準備が着実に進んでいることが示されている。

 無敗の格闘家でプロボクシングWBA世界バンタム級7位の那須川天心(25=帝拳)が20日、東京・両国国技館でWBA世界同級4位ジョナサン・ロドリゲス(25=米国)との120ポンド(約54・4キロ)契約体重10回戦に臨む。

 昨年4月のボクシングデビュー戦勝利から1年3カ月が経過。25年末の世界挑戦に向けて「3年計画」の2年目で折り返し地点とも言えるタイミングだ。ボクシング転向4戦目はランク上位の世界ランカー対決となる。

 今年1月、当時のWBA、WBO世界バンタム級14位のルイス・ロブレス(メキシコ)を3回終了TKO撃破して以来、約6カ月ぶりのリング。所属ジムの本田明彦会長によると、那須川は24年に3試合を戦い「25年末には世界戦になる」とのプランが組まれる。今年5月、那須川と同じキック出身となる元K-1スーパーバンタム級王者武居由樹(28=大橋)がプロ9戦目でWBO世界バンタム級王座を獲得したことを例に挙げ、同会長は8~10戦目あたりで世界挑戦させたい方針を口にしている。

 本田会長は「これまでほぼ見てこなかった」というキック時代の那須川の試合動画をチェック。キックボクシングならでは「間」の違いが分かり、那須川と話し合いながら「2週間前、自分のボクシングはこれだ、とつかんだと思う」と明かした。日本に招聘(しょうへい)するスパーリング相手も回数を重ねるごとにレベルが上がる。今回はロドリゲスよりもランキングが上となるWBO世界同級3位クリスチャン・メディナ(24=メキシコ)を呼んだ。現IBF世界同級王者西田凌佑(27=六島)とIBF同級挑戦者決定戦で戦ったハイレベルのパートナーと互角以上の戦いをしている。

 高校時代にボクシング部だった武居の転向4戦目は日本ランカーだった。キック一筋の那須川にとって元WBA世界スーパーフライ級王者カリド・ヤファイ(英国)を1回KO撃破した世界4位との対決はハイリスクであることは間違いない。本田会長も「元世界王者を倒してパンチ力もある。普通ならやらない高いレベルの対戦相手」というロドリゲスを選んだのは、進化し続ける那須川への期待の表れでもある。

 今回、ロドリゲスに勝利すれば、世界4位以内のランキングに入る見通し。国内で世界挑戦するためには日本、東洋太平洋王座獲得が条件という内規があるため、那須川が目指すのは転向後初タイトル奪取となる。年内にもう1試合、そして25年には8~9試合に届く計算になる。「じっくり育てる」方針に変更はないが、那須川の成長曲線が想像以上の右肩上がりとなれば“前倒し”で世界挑戦する可能性も残される。

 現在、世界主要4団体のバンタム級は日本人が独占中、WBA王者に井上拓真(28=大橋)、WBC王者に中谷潤人(26=M・T)、IBF王者に西田、WBO王者に武居がいる。今年5月のロドリゲス戦発表会見で、那須川は「しっかり勝って強い選手に勝っていけば、おのずと『次は那須川でしょ』と言われると思う。その位置に来年あたりには立てるはず。着々とやっていくだけ。4人そろっているので意識もしている。自分のためにこの4人がいてくれていると思っている」と口にした。

 同じキック出身となる武居との将来的な対決に注目が集まるが、那須川が頭に描くのはバンタム級最強王者の姿。「(意識する王者として)多分、世の中の人は武居くんと言ってほしいと思うが、割と全員意識している。1個取ったらいいと思っていない。全部取るつもりでいる」と4団体統一を掲げている。

 その大きな夢をかなえるため、まず「25年末の世界挑戦」というゴールに到達する必要がある。この「3年計画」のロードマップが順調に進んでいることを証明するためにもロドリゲス戦は真価を問われる1戦となりそうだ。