【柔道】ぜひ「ミセス高市」に勝ってほしい 「ママでも金」狙うアグベニェヌも注目/谷亮子さん

AI要約

パリ五輪(オリンピック)の柔道は、10日後に開幕する。女子48キロ級の角田夏実が有力視され、日本の夏季五輪通算500個目のメダルが期待される。

女子柔道代表の選手たちの特徴や注目ポイントが語られ、各階級での期待が高まっている。

パリ五輪の柔道競技に向けて、日本代表の準備が進み、期待が高まっている。

<パリで金 やっパリ金>

 パリ五輪(オリンピック)の柔道は、ちょうど10日後、開会式の翌27日から始まる。女子48キロ級の角田夏実(31=SBC湘南美容クリニック)が有力視される大会のメダル第1号が、日本の夏季五輪通算500個目。前回21年の東京五輪まで計96個を積み上げた柔道としても、今夏4つ目で大台の100個に到達する。目が離せない大会前半の花形競技。女子48キロ級で日本最多の5大会連続メダル獲得(金2銀2銅1)を誇る谷亮子さん(48)が、男子の鈴木桂治監督(44)女子の増地克之監督(53)と鼎談(ていだん)し、お家芸の男女14代表を紹介する。【取材・構成=木下淳】

    ◇   ◇   ◇

 女子63キロ級では、谷さん同様に結婚して出場する高市(旧姓田代)未来(30=コマツ)と、東京五輪で優勝した後に出産し「ママでも金」を目指すクラリス・アグベニェヌ(31=フランス)の勝ち上がりが注目される。

 谷さん 先日は久しぶりに全日本女子の代表合宿にうかがい、選手の皆さんの元気な姿を拝見できて良かったです。

 増地監督 ぜひアドバイスいただきたかったので。「やっパリ金!」の名言ありがとうございました。

 ◆57キロ級 舟久保遥香

 谷さん 長野県出身で世界ランク1位の出口クリスタ選手(カナダ)ら、海外の強豪が居並びます。そこに挑むに当たり、得意の寝技に加えて、立ち技の攻めも組み込めば強力です。

 増地監督 おっしゃる通りです。その中で舟久保選手は世界選手権で2年連続の2位。安定感を支えるのは寝技で、いかに相手のスタミナを削って後半勝負できるか。長期戦になればなるほど彼女のペースです。

 ◆63キロ級 高市未来

 増地監督 3度目の五輪です。過去の反省(2回戦敗退と5位)を踏まえ、必ずや最大のライバル(開催国フランスのアグベニェヌ)と決勝を戦うでしょう。

 谷さん 「田村で金、谷でも金」のように、ぜひミセス高市(旧姓田代)に勝ってほしい。一方でアグベニェヌ選手も、東京五輪で優勝した後に出産して「ママでも金」を目指しています。結果はどうあれ、新しい風を吹かせてくれれば。

 ◆70キロ級 新添左季

 谷さん 今大会の日本女子最長身(170センチ)。柔軟性もあり、リーチも長くダイナミックな技で、世界を圧倒する予感がしています。

 増地監督 強力な武器(内股)があって、そこから持っていく!? という投げっぷりも1番なんじゃないかなと。誰とでも合う、愛されキャラでもあります。

 ◆78キロ級 高山莉加

 増地監督 今すぐ試合を迎えてほしいくらい、おそらく代表7人の中で最もいい状態。世界選手権に1度も出たことがない苦労人ですが、心配はありません。

 谷さん 大きな選手の懐に入れるのは強み。そこから得意の寝技で好機を生かせるかが鍵を握ります。高山選手に注目ですね。

 ◆78キロ超級 素根輝

 増地監督 東京五輪の団体戦で左膝を痛めて、手術に踏み切って。本当に苦しい3年間でしたが、ここまで来られれば。あとは金メダルの取り方を知っていますから。

 谷さん 同郷(福岡県)ですし、先日の講話でも気持ちの高め方など質問してくれました。この階級での連覇も史上初になるので、実現に期待しています!

 ◆パリ五輪の柔道競技 27日から8月3日まで男女1階級ずつ(最終日は混合団体戦)行われる。予選ラウンドは連日午前10時(日本時間午後5時)から。エッフェル塔がある公園内のシャンドマルス・アリーナが会場。男女平等の観点から、初めて決勝順が女子→男子、翌日は男子→女子と交互になる。日本勢は14代表のうち8人が初出場。一方で阿部兄妹、永瀬、ウルフ、素根は連覇が懸かる。

 ◆谷亮子(たに・りょうこ)1975年(昭50)9月6日、福岡県生まれ。小学2年で柔道を始め、福岡国際女子を最年少の15歳で制覇。人気漫画から「YAWARAちゃん」と呼ばれて人気を博した。福岡工大付高、帝京大、日体大大学院、トヨタ自動車。世界選手権は6連覇を含む7度、全日本選抜体重別は11連覇を含む14度の優勝と異次元の成績を残す。家族は03年12月に結婚した元プロ野球選手の谷佳知氏と2男。五輪は92年バルセロナ、96年アトランタが銀、00年シドニー、04年アテネが金、08年北京大会が銅。「(旧姓)田村で金、谷でも金、ママで銅」を果たした。146センチ。

 ◆増地克之(ますち・かつゆき)1970年(昭45)9月29日、三重県生まれ。桑名高、筑波大からマルナカ、新日鉄。現役時代は187センチ、125キロで、全日本選手権13度の出場は11年まで史上最多だった。2度のアジア王者も。初の全日本学生優勝大会制覇に導いた筑波大の監督を経て、16年に全日本女子の監督に就任。東京五輪後、続投して2季目。