中京大中京が誉に大苦戦…。シーソーゲームの展開に高橋監督も「2つの試合をした」と苦笑い【24年夏・愛知大会】

AI要約

第106回全国高等学校野球選手権愛知大会のAブロックで中京大中京が誉を7-4で勝利した試合を振り返る。

中京大中京と誉は因縁深い対戦となり、試合は投手戦から一気に点の取り合いに展開する。

中京大中京が9回に追加点を挙げ、最後は飯島投手がリードを守り切って勝利した。

中京大中京が誉に大苦戦…。シーソーゲームの展開に高橋監督も「2つの試合をした」と苦笑い【24年夏・愛知大会】

<第106回 全国高等学校野球選手権 愛知大会 Aブロック:中京大中京 7―4 誉>14日◇3回戦◇岡崎レッドダイヤモンド球場

この日からシード校が登場することになる愛知大会3回戦。その32試合の中でも、屈指の好カードではないかと言われているのが、この試合である。今春の東海地区大会優勝校のシード校中京大中京と、2019年の第101回大会で初優勝して、悲願の甲子園出場を果たした誉が、いきなりぶつかることとなった。

その2019年には、準決勝で誉が優勝候補と言われた中京大中京を下して、その勢いでの甲子園出場となった。そんな因縁もあるカードでもある。

中京大中京は、昨秋はもう一つ勝ちあがり切れなかった。春季大会では名古屋地区大会から県大会、東海大会と戦うにつれてチーム力が整備されていって東海大会を制した。誉は、この春は尾張地区予選でも圧倒的に強さを示すことが出来ず、苦しみながらの県大会進出となった。もう一つ結果を残せてはいないが、選手個々のポテンシャルは非常に高いと評価されている。

中京大中京はエース左腕・中井遙次郎投手(3年)、誉は背番号10で、スリークォーターからサイド気味に投げ込んでくる樋口 澄明投手(2年)が先発。インコースのシュート気味のクセ球が持ち球でもあり、打ちづらそうなタイプである。

中京大中京は2回に一死二塁から8番に入っている中井投手自らの中前への強烈なタイムリー打で先制する。その後は、試合そのものもやや膠着気味となっていく。中井投手は2回から6回までは誉打線を3人ずつで抑えていっていた。こうして、テンポの速い投手戦という展開だった。

そして7回、中京大中京は今度は中井投手が一死からファウルで粘ってチャンスメイクの中前打を放つと、バントと暴投で三塁まで進む。ここで、1番の神谷倖士朗選手(3年)が左前打で返して2点目が入った。

ところが、ここからは、これまでとは全く別の試合のようになっていく。誉が一死から連打すると、中京大中京の高橋 源一郎監督は、「中井は連打されると続いてしまう癖があるので、捕手の杉浦に状態を聞いてみたら、前の回とは違っているということなので、思い切って球の速い宮内(渉・2年)を投入した」ということだったが、宮内投手自身が、少し準備不足だったということと、「岡崎RDのマウンドの固さにちょっと馴染みきれていなかった」ということもあって球が高めに浮き気味で四球を与える。それに、守りでも失策が出てしまい、たちまち同点となった。

それでも、その後を何とか宮内投手が押さえて同点で終盤戦となった。

8回での同点は、タイブレークも意識していかなくてはならなくなるのだが、中京大中京は一死一二塁から5番・杉浦 正悦主将(3年)が勝負強く三遊間を破ってリードを広げる。さらに、死球もあって満塁となったところで、代打・村上 颯選手(2年)が走者一掃の右中間二塁打を放つ。これで、中京大中京としても、少し安心のリードとなった。

しかし、誉も食い下がる。8回から登板した中京大中京の3人目・飯島 健太投手(3年)から、犠飛と5番・矢島 海選手(3年)の左翼線二塁打などで2点を返す。

こうして、終盤はいきなり点の取り合いになっていったが、中京大中京は9回にも主砲・山田 頼旺選手(3年)の中越二塁打で1点を追加する。そして、このリードを飯島投手が守り切った。

前半から中盤までの投手戦から、一気に点の取り合いになった試合だったが、中京大中京高橋監督は、「なんだか、2つの試合をしたみたいです」と苦笑していた。それでも、「代打で使った村上が、追い込まれながらもコンパクトに振って右中間を破った一打は大きかった。投手は6人入れているけれども、飯島は四球が少ないので最後は託した」と、終盤に苦しみながらも「やはり、夏は勝つことが一番大事」と、負けなかったことに安堵していた。

誉の矢幡真也監督は、「前半で2対0までだったら、返せる可能性はあるかなとは思っていました。7回は打ちあぐねていたところもあった左腕(中井投手)が替わってくれて、早い球ならついていけると思ったので、ラッキーかなとは思いました。ただ、追いついてから、リードを奪えないことが結果的には痛かった」と、残念そうに振り返っていた。