「諦めなければ何かある」 3年走りきった日南振徳・山田芳斗主将
AI要約
日南振徳は7点差を4点まで縮め、山田芳斗主将が内野安打で好機を広げた。
山田主将は奄美出身で、練習熱心な姿勢を貫き、チームを引っ張ってきた。
試合後に山田主将は仲間に感謝し、3年間をやりきったことを誇りに思っていた。
（12日、第106回全国高校野球選手権宮崎大会2回戦 日南振徳6―7聖心ウルスラ）
序盤の7点差は4点に縮まっていた。日南振徳の六回表1死一塁。打席の山田芳斗主将（3年）は自らに言い聞かせた。「自分が決める。出し切るしかないんだ」
第1打席は落ちる変化球に合わず空振り三振。しかし、頭は冷静だった。今度は「当てるだけじゃなく、振り切る」。バットを少し短く持って臨んだ初球、内角の直球を鋭くはじき返した。三遊間を抜けなかったが内野安打となって好機を広げ、この回に2点差まで追い上げた。
鹿児島県の奄美出身。親の転勤に伴って日南振徳へ進学した。野球部の練習を見に行き、「野球やろうぜ」と声をかけてくれた今のチームメートと出会った。冬場は学校近くの坂道や階段を走り込み、九回まで走り負けない体をつくってきた。この日は午前5時に集合。雨のため、トス打撃はできなくても、バドミントンのシャトルを打ち込んでから球場入りした。
試合は初回に猛攻を受けて6失点。それでも疑わなかった。「諦めなければ何かある」。三塁の守備位置から「サードこい、サード！」と声を絶やさなかった。
日南振徳は相手を上回る計10安打を放ち、九回も一打同点の好機をつくったが、あと一歩及ばなかった。試合後、すっきりした表情で球場から出てきた山田主将。「いつも仲間が支えてくれた3年間。やりきりました」（奥正光）
