「何が何でも塁に」声出して団結 埼玉の連合チーム、食らいついた
羽生実・羽生一・児玉・深谷の連合チームは試合中、主将の羽生一が選手に「何が何でも塁に出ろ!」と叫び続けた。
15人全員で週末にしか集まれない厳しい条件の下、チームは相手校を知ってから1カ月以上の準備をしてきた。
選手同士のコミュニケーションに苦労しながらも、主将の努力でチームは徐々に団結し、開幕試合では一丸となって全力を出し切った。
(11日、第106回全国高校野球選手権埼玉大会1回戦 羽生実・羽生一・児玉・深谷0-11所沢商)
羽生実・羽生一・児玉・深谷の連合チームの主将、羽生一の帖佐漣音(れおん)(3年)は試合中、何度も叫んだ。「何が何でも塁に出ろ!」
連合チームを組む相手校が分かったのは5月末。公式戦までの1カ月強、15人全員で集まれるのは週末だけという厳しい条件で挑んでいた。
苦労したのは選手同士のコミュニケーションだ。最初は会話がほとんどなかったという。「人見知りしてしまう人もいて、気まずい雰囲気があった」と振り返る。主将として、皆が仲良くなれるよう趣味やテストの点数など、共通の話題を見つけて会話を盛り上げようとした。チームは少しずつ打ち解けていった。
開幕試合が決まってからは、更に団結力が増した。「一生に一度の機会。全力を出し切ろう」と盛り上がったという。「全員で集まれる時間が短い分、声を出して団結する」「どんな形でも出塁する」と決め、この日の試合に臨んだ。
0―11の5回コールドで負けはしたが、4回には連続四球とバントで1死二、三塁の好機を作るなど、甲子園出場経験もある相手に最後まで食らいついた。「皆よく声が出ていたことが本当にうれしかった。負けたけど、悔いはないです」と晴れやかだった。(山田みう)