「この瞬間を待っていた」…劇的逆転弾を決めたワトキンス、パルマーとの“約束”を明かす

AI要約

イングランド代表がオランダ代表を2-1で破り、EURO2024の決勝進出を果たした。

試合はオランダの先制からイングランドが逆転し、最後まで激闘を制した。

ワトキンスが劇的な逆転ゴールを挙げ、決勝に向けて意気込みを語った。

「この瞬間を待っていた」…劇的逆転弾を決めたワトキンス、パルマーとの“約束”を明かす

 EURO2024・準決勝が10日に行われ、イングランド代表がオランダ代表を2-1で破り、2大会連続のファイナルへ駒を進めた。試合後、劇的逆転勝利の立役者となったFWオリー・ワトキンス(アストン・ヴィラ)が喜びの声を届けた。

 2大会連続のファイナルまであと一歩のところに迫ったイングランド代表と、9大会ぶりの決勝進出を狙うオランダ代表の対戦。試合は立ち上がりの7分、敵陣での素早い切り替えによりボールを奪ったMFシャビ・シモンズ(ライプツィヒ/ドイツ)が、ボックス手前右寄りの位置から強烈なミドルシュートを叩き込み、オランダ代表が先手を取る。だが、イングランド代表もビハインドの時間を長くは続かせず、18分にFWハリー・ケイン(バイエルン/ドイツ)のPKで試合を振り出しに戻した。

 前半だけでなく、後半に入ってもなかなかスコアは動かず、このまま1-1で試合終盤に向かっていく。誰もが延長戦突入を予期した後半アディショナルタイム、イングランド代表は81分からピッチに立っていた2名の選手が躍動した。

 敵陣右サイドでボールを受けたMFコール・パルマー(チェルシー)が前を向き、ボックス内へ斜めのパスを差し込むと、このボールにFWオリー・ワトキンス(アストン・ヴィラ)が反応。DFステファン・デ・フライ(インテル/イタリア)を背負いながらボールを収め、反転から右足を振り抜き、強烈な右足シュートをゴール左下隅に叩き込む。“伏兵”の一撃で、イングランド代表が土壇場で逆転に成功した。

 試合はこのままタイムアップ。激闘を制したイングランド代表が、決勝の舞台で涙を飲んだ前回大会に続き、決勝行きの切符を掴み取った。

 勲章の決勝ゴールを挙げたワトキンスは試合後、『ITV Sport』を通して「信じられない。大会が始まってからの数週間、僕はこの瞬間を待っていた」と正直な心境を告白。「今日の僕があるのは、間違いなくこれまでハードワークを続けてきたおかげさ。今日、チャンスを得て、それを両手で掴むことができた」と喜びを露わにした。

 81分に共にピッチへ送り出されたパルマーとは、出場前に“ある約束”をしていたという。「僕は彼に『これからピッチに出たら、必ずゴールを決める。だから、最高のボールを届けてくれ』と言ったんだ。彼があの位置でボールを持った時、僕にパスをしようとしていることがわかった」とその内容を明かすと、「シュートがゴールの隅に吸い込まれていくのを見た時は、本当に最高の気分だったよ」と語った。

 劇的な形でのファイナル進出を受けて、「僕らは1点のビハインドなんて物ともしない力強さがある。僕らは決して諦めない」と語ったワトキンス。「あと1試合、スペイン戦の準備はできている」と、現地時間14日に控えた決勝に向けて意気込んだ。

 また、『UEFA.com』を通しては、「この感情を表現する言葉が見つからないね!すべてを味わい尽くしたかったから、本当はピッチから出たくなかったよ(笑)」と本音を明かす。ゴールシーンを詳細に振り返り、次のような言葉を残した。

「コールがターンした瞬間、僕は動き出した。その後にコールが何をするかはわかっていたんだ。あんなにも見事なシュートを打ったのは、今日が初だと思うよ」

 準決勝で母国を救うを大仕事をやってのけたが、このような活躍はワトキンス自身も想像していなかったのかもしれない。“スリーライオンズ”に初めて名を連ねたのは2021年3月のこと。当時、ワトキンスは25歳だった。直後に行われたEURO2020ではメンバーから外れ、その後もコンスタントに声がかかっていたわけではなく、“常連”となったのは昨年10月以降だ。

 これまでの道のりを振り返ったワトキンスは、「イングランド代表の一員としてEUROの舞台に出場するなんて、過去の僕は微塵も思っていなかった」と正直に明かす。「でも、ここに辿り着くまでに多くの努力を積んできたんだ」と自身の取り組みを誇ると、母国にとって初の戴冠が懸かったスペイン代表とのファイナルに向けて、意気込みを語った。

「スペイン代表は素晴らしいサッカーをするチームだね。僕らのように、大会屈指の選手層も誇っている。僕にとっては、間違いなく人生で最も重要な試合になるだろう。でも、今はこの瞬間を祝福したいのが正直な気持ちかな」

 スペイン代表とイングランド代表による決勝は、現地時間14日にドイツ・ベルリンの『オリンピアシュタディオン』にて開催。日本時間では28時00分(15日の4時00分)にキックオフを迎える。