東京五輪は無邪気な若手で「銀」の本多灯…競泳の「顔」で臨むパリ、最強ライバルと頂点争う

AI要約

競泳選手がパリ五輪に向けての準備を行っている様子を紹介。

過去の実績や苦労を乗り越えながら、前向きに進んでいる姿が描かれている。

自己ベストを更新し、金メダルを目指すためにさらなる努力を続ける選手の成長が伝えられる。

 夏のパリ五輪が開幕するまでおよそ半月。目前に迫った大舞台で、注目競技の日本のエースたちはどんな戦いを挑もうとしているのか。担当記者が紹介する。

 6月末に相模原市で行われた五輪前最後のレースでひときわ大きな歓声を浴びた。自身に寄せられる期待を実感しながら泳ぎ終えると、パリに向けて気持ちを入れ直した。「東京五輪の時みたいなわくわく感が芽生えてきた。またいい結果を出したい」

 2021年の東京五輪は日本競泳陣の男子で唯一のメダルとなる銀に輝いた。その後、世界選手権では22年から表彰台に立ち続け、今年2月のドーハ大会では左足首の負傷を抱える中で金メダルを獲得。すっかり日本競泳界の「顔」となった。それでも、「チャレンジャーであることに変わりない」と冷静に足元を見つめる。

 200メートルバタフライの自己ベストは1分52秒70。世界選手権ドーハ大会では不在だったクリシュトフ・ミラク(ハンガリー)の持つ世界記録とは2秒36の開きがある。後半の追い上げが持ち味だが、五輪での金を見据えると課題の前半で離されてしまえば勝負にならない。そのため、東京五輪後は前半から積極的に飛ばす泳ぎに力を注いできた。キックの強化にも時間を割き、推進力を妨げないようキックを打ち込むタイミングも模索し続けている。

 その成果が2月の金であり、6月末の相模原市でのレースだった。いずれもベストの状態ではない中で、前半のタイムは自己ベストを出した時より速いペースで攻めていた。本番ではいかに後半までスピードを持続させるかがカギとなるが、堀之内徹コーチは「今までよりも大きな動き、気持ちに余裕を持った状況で良い泳速を出せるようになってきた」と太鼓判を押す。

 3月の五輪代表選考会では日大の後輩・寺門弦輝(セントラルスポーツ)に敗れ、2位での代表入り。欧州グランプリでは休養明けのミラクとの再戦で先着を許した。あくまでも五輪に向けた過程のレースではあったが、「負けてから気づけたこともある。気持ち的な刺激が入っているのは確か」。ここからはもう負けられない。