令和の高校野球の象徴?!SJBで都立江戸川は東東京大会の上位進出を狙う

AI要約

選手主体でチームを運営する学校が増えており、指導者は支援役に徹し、選手の主体性を尊重している。

都立江戸川ではSJBと呼ばれる戦術を導入し、選手たちが自ら攻撃戦略を考え、試合でもノーサインで戦うことが特徴となっている。

自前のホームページやSNS活動を通じて知名度を高め、中学生も入学するようになり、チームのレベルを上げている都立江戸川の野球チーム。

令和の高校野球の象徴?!SJBで都立江戸川は東東京大会の上位進出を狙う

近年、選手主体でチームを運営している学校は増えているように感じる。ひと昔のように、指導者の一言でチームがまとまり、同じ方向に進んでいくのではなく、選手たちの主体性を大事にして、指導者はあくまで支える立場になる。こうした構図で日々練習をしているチームは多い。

東東京にいる都立江戸川も選手の主体性を重んじるチームカラー。その戦いぶりはSJB(セルフジャッジベースボール)と称されるほどである。

練習はもちろん、試合では自分たちで攻撃の手段を考える。監督からサインは出ない。もっと言えば選手交代、投手の継投策についても、選手たちにゆだねられている。選手たちの主体性を尊重するのが、SJBだった。

2024年4月に異動した前任の園山蔵人監督が2020年から導入したSJBは、年を重ねるごとにバージョンアップしている。都立江戸川を巣立ったOBたちの大学で活躍する姿が、現役選手のモチベーションの向上。さらに都立江戸川ではSJBをやっているということを、自前のホームページやSNS活動を通じて知った中学生が入学することで、元々の能力が高まってきたからだ。

実際にチームの主将、都立江戸川ではヘッドコーチと呼ばれる役職に就く片倉裕太は、まさに中学時代に都立江戸川のSJBに惹かれて入学を決心した選手の1人。「中学3年間を振り返ると、自分で考えてプレーすることだったんですが、都立江戸川に入ればすごく考えて野球ができる」という理由で進路を選択したという。

そんなSJBだが、試合ではノーサインで戦う姿が印象深く映ってしまうが、練習方法も新鮮。練習メニューを選手たちで決めるのはもちろんだが、そのときはスキルリーダーと呼ばれる役職の選手たちが、チームで掲げている目標に対して必要な練習を組む。

その上にスキルリーダーたちをまとめるチーフリーダー、そしてチームの方向性を決めるヘッドコーチ・片倉主将がいるという形で、チームが編成されている。まるで会社さながらの組織図。そして共有の課題を認識するためにも、選手間のコミュニケーションは普段の練習から欠かせないものである。

「それぞれのキャプテンが話し合って練習メニューを決めていますので、コミュニケーションは大事にしています。だから学年に関係なく、練習で気が付いたことはどんどん発言するように意識しています。

実際、今年は上級生が積極的に動くようなチームを目指すことを所信表明したので、まずは上級生が密にコミュニケーションをとったことで、より良いチームになってきました」(片倉主将)

ある種、令和の高校野球にマッチしているともいえるSJB。選手たちの意識、レベルを年々バージョンアップさせつつも、「変化は必要だと思うので、良い要素を取り入れている」と片倉主将が話すように、最適な形に変えている。

事実、この春からは、選手起用を指導者にお願いするようにした。片倉主将いわく「選手同士で様々な意見が出てきて、どうしても決めきれない」ということで、指導者の協力を仰ぐことにした。型にとらわれることなく、ヘッドコーチ・片倉主将たちの世代にあった最適なSJBの形で、集大成の夏を迎えようとしている。そこも選手たちの主体性と言ってもいいだろう。