【ボクシング】ブルース・リーの境地!?世界上位ランカーとの対戦へ那須川天心が「水になる」

AI要約

無敗の格闘家でプロボクシングWBA世界バンタム級7位の那須川天心が、プロ4戦目に臨む。

那須川は10ラウンドの対戦に向けて、相手を圧倒するために様々な距離で戦い方を準備している。

那須川は「水になれ」という哲学を取り入れ、流れを意識して戦うことで相手を打ち破る戦術を展開している。

 『水になれ……』。無敗の格闘家でプロボクシングWBA世界バンタム級7位の那須川天心(25=帝拳)が“ブルース・リーの境地”でプロ4戦目に臨む。

 同級4位ジョナサン・ロドリゲス(25=米国)との10回戦(7月20日、東京・両国国技館)を控えて4日、都内の所属ジムでスパーリングを公開。同級WBO3位、IBF4位のクリスチャン・メディナ(24=メキシコ)を、ロングレンジ、中間距離、接近戦とすべての打ち合いで圧倒してみせた。

 世界上位ランカーとの対決に向けて「場を支配する」をテーマにスパーリングを積んできた。

 那須川 これまで距離を取って戦うこと多かったが、打ち込んだり、決めにいったり。10ラウンドあるので使い分けて戦いたい。流れで相手がいやなところをついて倒せばいい。場を支配する。それに尽きる。

 ロドリゲスは打ち合いを得意としている。ロングレンジでの戦いには定評がある那須川だが、中間距離や接近戦での打ち合いでも世界ランカーを圧倒できるように準備をしてきた。

 那須川 倒しにいくと、倒せなくなる。すべてタイミングで決まる。だからどの距離でもすべて相手に勝るために場を支配できるようにやってきた。水の流れのように。

 映画『燃えよドラゴン』などで一世を風靡(ふうび)したアクション俳優の、中国武術家ブルース・リーの有名な『水になれ』の境地に重なる。宮本武蔵の『五輪書』などを参考にしたリーの格言で、水のように形を変えながら変幻自在、臨機応変に対応するという究極の哲学でもある。

 那須川 ボクシング以外の呼吸や、ちょっとした武道の動きを取り入れたときに、目に見えないけど流れがある。その流れを度外視して攻撃しても当たらない。流れをつかんで場を支配することでタイミングが合ってくる。そこで相手が意識しないところや、見えてないところで打つ。それを意識している。

 もう一つ意識していることがある。「考えずに打つ」ことだ。

 那須川 頭を使うとダメっぽい。こうしようと考えると、0コンマ何秒遅れる。そうすると歯車が狂う。そこを考えなくていいように、流れを意識してやっていく。今日のスパーリングはその流れに沿ってできた。

 これも『燃えよドラゴン』の中で主役のリーが「考えるな、感じろ!」と、弟子に武道の極意を教えたシーンと重なる。

 那須川 スタイルもパンチの質も変わってきている。さらに進化した姿を、やばいなと思って見てもらえるような試合になるかなと思う。

 神童と呼ばれた天才格闘家が、新たな境地で世界への扉を開ける。【首藤正徳】