【ボートレースコラム】話題沸騰の“セット交換” 実は対策すべき課題もあって…

AI要約

尼崎グランドチャンピオンでセット交換が頻繁に行われた理由は、エンジンの新しさからだ。

選手たちが中古エンジンのセットに交換することで感触が向上したことが多かった。

セット交換が増えたことで競技の課題や影響も生じたが、適切な対策が必要とされる。

【ボートレースコラム】話題沸騰の“セット交換” 実は対策すべき課題もあって…

 6月30日に終了した尼崎グランドチャンピオン。このSGでは“セット交換”が頻繁に行われた。ピストン2個、リング4個、シリンダーを中古に換える本体整備。これを出場52選手のうち24選手が行った。実は平本真之、関浩哉、定松勇樹のエンジンも前節までに交換済み。つまり、最終的に過半数がセット交換を施されていたことになる。

 なぜ、こんなことが起きたのか。選手たちから話を聞いて、たどり着いた結論は「導入から日が浅いエンジンだから」だ。

 尼崎の現行機はグラチャンが使用7節目で、まだ部品がなじんでいない。対して中古のセットは1年間使われた旧エンジンのもの。部品同士がなじみ切っている。実際に交換した選手からは感触アップを伝えるコメントが続出。一方で感触ダウンの声は皆無だった。優勝戦6選手でセット未交換機は上條暢嵩のみ。この結果も効果の大きさを物語っている。

 エンジンを製造しているヤマト発動機が出力を下げたという噂もあったが、これは電話取材で完全否定。「14年12月に現行の331型を導入してから出力低減はしていない」と同社から回答を得た。

 ただ、3月以降にエンジンを切り替えたレース場で増加しているのも事実。ファンからしたらセット交換は絶好の買い時だ。旧エンジンの何号機の部品かまで開示してもらえたら、過去のエンジンの知識も舟券に生かせる。

 とはいえ、競技という側面から見ると課題もある。現状、このセット交換は整備をお願いした順だと聞いた。もしエンジン抽選が終わった直後、全選手が整備場に駆け込んだら抽選の意味がない。ボートレースの醍醐味(だいごみ)が一つ失われる。

 ましてやグランプリで同じことが起きたら賞金上位6人が得るアドバンテージは半減。関係者全員が納得するルール作りは難しいだろうが、対策の必要性を感じるSGだった。(小西 吾郎)

 ◇小西 吾郎(こにし・ごろう)1978年(昭53)10月29日生まれ、東京都出身の45歳。大村ボートは23日開幕のSGオーシャンCが新エンジン5節目。セット交換が頻出するようなら遠慮せずに狙います。