【ボート記者コラム・スポニチボートクラブ(是石真紀)】ボート界の流行語大賞は“セット交換”か?

AI要約

ボートレース尼崎のSG「第34回グランドチャンピオン」で注目されたセット交換のトレンドについて

エンジン相場の影響を受けずに整備が行われ、選手間では機力差が明確となった

セット交換をしない機が「純正エンジン」と呼ばれるようになり、レースに新たな展開が見られた

【ボート記者コラム・スポニチボートクラブ(是石真紀)】ボート界の流行語大賞は“セット交換”か?

 ボートレース尼崎のSG「第34回グランドチャンピオン」は、土屋智則のSG2Vで幕を閉じたが、ボート界の“トレンド”に急上昇したのが「セット交換」。もう今年のボート界“流行語大賞”は、これで決まりだと思うほど、その話題で持ち切りだった。

ちなみにセット交換とは、ピストン2本、リング4本、シリンダーケースをまとめて前年の部品と交換すること。

尼崎の現行エンジンはグラチャンで7節目。整備が解禁されたのが5節目からで、まだ機歴が浅い。こんな時期に、節間で24件ものセット交換が行われた。見たことも聞いたこともない。

 当然ながら、事前に分析していたエンジン相場は、ほとんど役に立たない。他場の記者や関係者に「予想が大変ですね」などと声をかけられたけど、大変どころか、もうお手上げ気分だった。

前日までのエンジン気配から激変して、全然別物の動きになるケースが多々あり「今日もまた誰かの整備が当たって、印が外れるんだろうな」と嫌な予感ばかりが当たり続けた。

 選手コメントからも「セット交換組には勝てる気がしない」など機力差が明確となり、3日目には「純正」というボート界では聞かない新ワードが出てきた。

「部品交換をしている人とは違うけど自分は純正で頑張ります」。「純正では精いっぱいだけど意地でも換えない」など、選手心理をうかがえるコメントも。「セット交換して全然違う。別物になってレベルが違う。これは整備じゃない」との談話が出るころには、セット交換をしていない機が「純正エンジン」と呼ばれるようになった。これも艇界の新語・流行語大賞候補か。

 今後もセット交換大会が続くかは不明で、なぜこんなはやりになったのかは、記者間ではうわさも含めて諸説がある。

現場記者による検証や分析が進むと思うけれど、いきなり降って湧いたような“セット交換祭”。本紙予想担当としては、熱の出そうな6日間でした。(是石 真紀)