怒涛の立ち上がりで静学を飲み込み、8-1。プレミアWEST首位の大津が7連勝

AI要約

大津高が8-1で静岡学園高を下し、7連勝を達成。山下景司のハットトリックなどで圧倒的な強さを見せた。

静岡学園高は攻守で苦戦し、大津高の速さと強度に押されていた。ご立川修監督は基準の違いを認め、今後の伸びしろに期待をかける。

大津高は完勝したものの、選手たちはまだまだ成長できると考えており、次戦に向けて進化を続けている。

怒涛の立ち上がりで静学を飲み込み、8-1。プレミアWEST首位の大津が7連勝

[6.30 プレミアリーグWEST第10節 静岡学園高 1-8 大津高 時之栖スポーツセンター 時之栖Aグラウンド]

 大津が難敵を飲み込み、7連勝! 6月30日、高円宮杯 JFA U-18サッカープレミアリーグ 2024 WEST第10節2日目が行われ、6連勝中の首位・大津高(熊本)はアウェーで静岡学園高(静岡)と対戦。FW山下景司(3年)の3得点など8-1で大勝した。

 アウェーの会場を沈黙させるような、怒涛の前半だった。「これまで丁寧にやってたのを、今週は『とにかく速く攻撃しよう』『時間掛けれるところも掛けずに、一回前に速く』っていうのを言っていたので。そこが前半はいい感じで得点まで行けたんで、良かったですね」と山城朋大監督。大津はキックオフからシンプルに前線で収める山下景への縦パスや、右SH舛井悠悟(3年)の前方のスペースを活用した配球で相手を押し下げる。

 そして6分、山下景の展開から右SB野口悠真(3年)が敵陣ゴールライン際のポケットへパス。舛井の折り返しに走り込んだ10番MF嶋本悠大(3年)がPKを獲得する。このPKを山下景が右足で左隅へ決め、先制した。

 その山下景は「入りがめちゃくちゃ良くて。強度の高いプレスから、相手に何もさせないまま相手陣地でプレーできたんで、PKの1点目もしっかり決めることができて、その後畳みかけることができて、それでゲームが決まったかなと。静学のドリブルはやっぱ警戒していたので、人についていくっていうところを意識して、あとはプレスの速さで相手にドリブルさせなかったかなと思います」と振り返ったように、大津は静岡学園に立て直す間を与えない。

 静岡学園はボールを保持できず、バックパスや苦しいクリアが増加。セカンドボールを回収して攻める大津は12分、ショートパスを繋ぐと右サイドの野口がPAへパスを通す。これを嶋本が1タッチの右足ループシュートで決め、2-0とした。

 大津は17分にも相手を押し込み、ゴール前の混戦から山下景がこの日2点目のゴールを決めた。静岡学園は注目右SB野田裕人主将(3年)が待望の今季初先発。ビルドアップに苦戦する中、野田が意図的に中央へポジションを取って攻撃を好転させようとする。だが、静岡学園は全体的に消極的なプレーが多発。大津は23分にも山下景が相手のミスパスをインターセプトし、MF兼松将(3年)のラストパスから舛井が右足シュートを叩き込んだ。チャンスを確実にゴールへ結びつけた大津が、わずか23分間で4点リード。スピード、強度だけでなく、嶋本やMF畑拓海(3年)、MF中村健之介(3年)がボールを失わない部分でも技巧派軍団を上回って見せた。

 静岡学園が落ち着きを取り戻した時には大きなビハインドを負っていた。DFラインから大事にボールを動かし、MF堀川隼(3年)らが局面突破。球際での強度も上がり、幾度か前進することはできていた。だが、アタッキングサードからのドリブルは左SB大神優斗(3年)と野口の相手両SBに蓋をされ、スペースへの攻撃は抜群の強さを見せるCB五嶋夏生主将(3年)とCB村上慶(2年)に阻まれてしまう。

 結果、静岡学園の前半のシュート数はゼロ。後半10分には野田のスルーパスにFW大木悠羽(3年)が走り込んだが、これも大津CB五嶋にブロックされた。この後、GK、CBのところでミスも出ていた静岡学園を大津が再び飲み込む。

 後半13分、右の舛井のドリブルから山下景が中央へ繋ぎ、最後は兼松が右足で5点目。静岡学園は直後に再びスルーパスから大木が抜け出したが、シュートは大津GK坊野雄大(3年)がストップする。

 すると17分、大津は畑のスルーパスから右のポケットを突いた舛井が折り返す。これを兼松が左足ダイレクトで決めて6-0とした。さらに19分には、山下景が鮮やかなコントロールショットを決めてハットトリック達成。今季の得点数を2位と5差の13ゴールとした山下景は「前節、(鹿児島)城西戦で取れなくて、『今日は取ってやろう』って思ってましたし、そういった得点っていうところもモチベーションになっている」と頷く。

 後半も難敵を圧倒するような戦い。山城監督が「途中からちょっと走らされるっていう時間もありましたけど、基本的には自分たちで走り始めるっていうところが今日はできてたかなと思います」というように、攻守で主導権を握り続ける大津が点差を7点に広げた。

 このままでは終われない静岡学園も24分、交代出場MF鵜澤浬(3年)が縦への仕掛けから右クロス。こぼれ球をMF加藤佑基(3年)が右足ダイレクトボレーで左隅へ叩き込む。意地の1点。その後も怯まずにゴールを目指そうとしていたが、鵜澤のラストパスから大木が放った一撃もGK坊野に止められてしまう。

 逆に大津は先発5人を入れ替えた後も交代出場組が奮闘。45分にも右サイドでFW山下虎太郎(2年)がインターセプトし、MF曽山瑚白(3年)が中央へ繋ぐ。最後は兼松からパスを受けた嶋本がDFを外して右足でゴール。ゴールラッシュを締めくくった。

 静岡学園は巻き返し、徐々に特長を出していたものの、悔しい敗戦。川口修監督は「基準、普段の取り組みの質の違い。(大津の選手たちは)本気でサッカーに向き合っている。持ち帰って、基準を変えられるか。それが今後の伸びしろに繋がっている」と語った。このような完敗は21年インターハイ準決勝で青森山田高(青森)に0-4、シュートゼロで負けて以来。当時の選手たちはその後、基準を変えてプレミアリーグ昇格や選手権8強に結びつけている。同じような成長曲線を描けるか。

 一方の大津は結果を残し続けているが、この日のように圧倒した試合は少なく、選手たちは「まだまだ」という気持ちを持って戦うことができているという。この日も立ち上がりを高評価されていたが、あくまでその時間帯に連続得点が決まったから得点差が開いたという評価。山下景は「(山城)監督とか(テクニカルアドバイザーの)平岡(和徳)先生もやっぱりそういう慢心とか過信っていうのを気をつけろっていうのは常に言われてるので、引き締めてゲームに臨めていると思いますし、そういった精神的な面でもいい準備ができて試合に臨めている。(重要なことは) 1試合1試合勝っていくこと」と口にする。

 

 勢いの止まった時間帯の戦い方やリードされた展開での戦い方など準備すべきことはまだまだある。まずは、大津らしく日々進化を目指し、次節の東福岡高(福岡)戦へ。山下景は「前期あと1試合残っていて、ヒガシなんで結構厳しい戦いになるのかなって自分予想してるんですけど、首位だからっていうのはあまり気負いすぎずに、ヒガシに勝つことを意識していきたい」。今後のためにも一戦一戦に集中。目の前の戦いに勝って、インターハイに弾みをつける。