“壮絶な死の山”EURO決勝Tの明暗「我々がベスト」スペインにドイツ、不甲斐なく不運なフランスvsベルギー、ポルトガルも…現状と展望

AI要約

EURO2024は波乱のトーナメント状況となっており、強豪国が散りばめられたグループステージを突破していく様子が描かれている。

ドイツ代表は、途中出場でゴールを量産するストライカーの活躍により、16強進出を果たすも、先発の座に就くべきか悩みどころとなっている。

開催国ドイツの真の力が16強以降で問われる中、注目の試合が展開される展望が描かれている。

“壮絶な死の山”EURO決勝Tの明暗「我々がベスト」スペインにドイツ、不甲斐なく不運なフランスvsベルギー、ポルトガルも…現状と展望

佳境を迎えるEURO2024。優勝候補が強さを見せる一方で、波乱もあって「死のトーナメント」といっていい山が発生した。それを演出した番狂わせ候補のオーストリアの現状を含めて展望していく。(全2回)

 片方の山にスペイン、ドイツ、ポルトガル、フランス、そしてベルギーまでが居並び、一方のやぐら群にはイングランド、オランダ、イタリアと、いまひとつ勢いに乗れていない強豪国が振り分けられた。

 グループステージを終えたEURO2024の決勝トーナメント表は、なかなか歪なものになっている。ここまでのふたつのベストチーム、ドイツとスペインが16強でそれぞれにデンマークとジョージアを下して突破すれば、準々決勝が事実上の決勝になりそうな情勢だ。さらにその先の準決勝には、こちらも好調のポルトガルが待ち構えていることが十分に考えられる。

 ただしそれらのカードはある程度、予想できたものでもある。最多3度の優勝回数で並ぶドイツとスペイン、前々大会の覇者ポルトガルは各グループを順当に首位で突破した。

 開催国ドイツはグループAでスコットランドとハンガリーに連勝して勝ち抜けを決めると、スイスとの最終戦では先制されながらも、後半追加タイムに途中出場のニクラス・フュルクルクが頭で同点ゴールを奪い、2位転落を免れた。

「彼がまたしても決めてくれた。しかも良いゴールだったね。ベンチに彼のような選手がいてくれて、助かっているよ」

 試合後の記者会見でドイツのユリアン・ナーゲルスマン監督は、頼れるジョーカーについてそう話した。ボルシア・ドルトムントに所属する現在31歳のストライカーは、代表での19試合で13得点を記録し、そのうち途中出場の13試合で7ゴール。1年半前のカタールW杯を含めた主要大会に限ると、出場した6試合すべてが途中出場ながら、4得点を奪っている。

 メジャートーナメントでおよそ34分に1度はネットを揺らしているフュルクルクを、そろそろ先発で起用すべき、との声もかまびすしい。指揮官はその点について、次のように語った。

「この役割(スーパーサブ)を実にうまく務めることは、彼にとって幸運であり、不運でもある。もちろん、彼にも先発の可能性はある。ただし、カイ(・ハバーツ)にも同様にチャンスはある」

 スイス戦でその遅咲きの大型FWが90+2分に得点していなければ、ドイツは16強で前回王者イタリアと対戦するところだった。ただしその先を考慮すると、どちらが進み易い道のりかはわからない。本大会に入って調子を上げている開催国の代表の真価が、ここから問われる。