【結果を求められた天皇杯2回戦、J1川崎のポジティブな4要素(1)】いつもとは違った“止める・蹴る”の練習の成果がアシストに……佐々木が受けた「鬼木監督からの助言」

AI要約

川崎フロンターレが天皇杯での戦績と選手起用についての挑戦を振り返る。

選手起用の背景やトレーニングの成果が試合に反映され、ポジティブな要素となる。

佐々木選手の成長や柔軟性がCBポジションでも活かされるプレーが見られる。

【結果を求められた天皇杯2回戦、J1川崎のポジティブな4要素(1)】いつもとは違った“止める・蹴る”の練習の成果がアシストに……佐々木が受けた「鬼木監督からの助言」

 天皇杯という大会において、大きな話題となるのがジャイアントキリングだろう。実際、6月12日に行われた2回戦でも、J1クラブが3つ敗れる波乱が起きた。一つは大学生に、一つはサッカー専門学校生に、もう一つはJ3チームに敗れたものだった。

 この大会は、結果が求められる。内容が良かったとしても、何度ゴールネットを揺らそうとも、勝ち上がらなければ道は閉ざされ、タイトルは手に入らない。川崎フロンターレも、その悔しさを何度も味わってきた。

 その試合に、川崎は6月12日に行われたソニー仙台戦でスターティングメンバーに思い切った選手起用を行った。「この大会はとにかく上がっていくことが重要」と試合後に振り返った鬼木達監督は、「Jリーグ(直近の試合)からかなり期間が空いてしまうので、試合をしっかりとしなくてはいけない」という試合勘の維持に加え、負傷者の多さをその理由としていた。中3日で国立競技場でのヴィッセル神戸戦があることを考えれば、延長やPKに進まずに90分で危なげなく勝利したことはまずポジティブな要素といえる。

 実際、他会場では勝利したもののPK戦まで戦い抜いたチームもある。家長昭博を先発させ、バフェティンビ・ゴミスをベンチに座らせたことも考慮すれば、90分勝利した意味は大きい。

 この試合のもう一つのポジティブな要素は、中断期間に取り組んだトレーニングの成果の一端が出たことだ。この試合で2点目をアシストした佐々木は、その練習の成果が実を結んだと話す。

 この試合を前にした全体練習で、“止める・蹴る”の練習でいつもとは違った形に取り組んだというのだ。1日2種類ずつこなしたほか、全体練習後には鬼木監督に呼び止められて、大南拓磨、田邉秀斗も含めて4人での“止める・蹴る”が行われた。

「やっぱり泰くん(脇坂泰斗)たちと同じことをやっても追いつかないんで、そこをしっかり鬼さんも見てくれて。すごいありがたい」

 そう感謝を口にする佐々木は、アシストとなるパスを蹴る瞬間についても、「鬼さんからセンターバックも前に流して蹴るんじゃなくて、足元で止めて蹴れる所に置けって言われていたので、それを意識した」と助言を受けていたと振り返る。

 また、この試合では時間的な余裕があったことで、しっかりと考えながらプレーすることもできた。「後半は、外を取ったら相手のサイドハーフの選手が自分にプレッシャーをかけてこようとしてたので、あえて拓磨くんに近寄ってFWとサイドハーフの間で受けるように意識した」と話すのだ。

 SBとして攻撃に関わることが多かったそのセンスと技術を、CBというポジションでも出せるようになっているのだ。

(取材・文/中地拓也)

(後編へ続く)