「J3のプロ契約選手の年俸は0でいい」日本サッカー協会元会長・川淵三郎氏の大胆提言

AI要約

田崎氏が『横浜フリューゲルスはなぜ消滅しなければならなかったのか』を通じて、日本サッカー界の課題や将来像について議論する。

川淵氏はJ2、J3においてプロ契約選手の数を減らす必要性を強調し、若手選手の育成と経営安定を重視するべきだと述べる。

将来的にはJ2、J3において経営の健全性と選手の育成を重視した方針が必要であり、クラブ間の連携と競争が大切だという見解を示す。

「J3のプロ契約選手の年俸は0でいい」日本サッカー協会元会長・川淵三郎氏の大胆提言

 <今年4月、ノンフィクションライター田崎健太氏が『横浜フリューゲルスはなぜ消滅しなければならなかったのか』を上梓した。多くの関係者の取材を元に横浜フリューゲルスの誕生から消滅までを丁寧に紡いだ作品だが、まさに日本サッカー史そのものであるといえる。今回、この書籍に登場した川淵三郎氏(日本サッカー協会元会長)が、出版後に改めて取材に応じてくれた。

前編に引き続き、後編では日本サッカー界の「あるべき姿」について、二人が語りつくした。(写真:松岡健三郎)>

 田崎 フリューゲルスの話に戻します。ぼくが『横浜フリューゲルスはなぜ消滅しなければならなかったのか』を書かねばならないと思ったのは、また同じようになくなってしまうクラブが出てこないようにという思いがあったからでした。J1に関してはそれなりに運営していると思いますが(3部リーグ)J3などはかなり経営的に厳しいクラブもある。

 川淵 J3は置いておいて、J2はぼくが(チェアマンのときに)立ち上げた。ぼくが言ったのは、J2のクラブは各チームプロ契約は5人でいい。どうして5人かというと、プロ契約選手を沢山雇うと経営が成り立たないから。だから選手たちは自分で別の仕事をして生活費を稼いで、合間にサッカーをする。上昇志向があって必死で上を目指す選手であるべき。

 田崎 ところがJ1以上の年俸を払うクラブまで出てきて、多くのクラブが経営危機に陥った。

 川淵 実力があればJ1のクラブから声が掛かる。J2というのはそういう可能性を与えるリーグであるべきで、そこで高い給料を払う必要はない。

 田崎 ところがJ3でさえほとんどがプロ契約選手。他のクラブがそうだからという理由なのか横並びの印象がある。J2、J3のクラブ間で同じ選手を回している。

 川淵 予算規模を考えたら、J3はプロ契約の選手は0でいいと思う。

 田崎 『横浜フリューゲルスはなぜ消滅しなければならなかったのか』の終盤でぼくは、フリューゲルスを残すために、セザール・サンパイオ、山口素弘さん、楢崎正剛さんなどの代表選手は全て他のクラブに売却。残った若い選手だけでやりくりして、そこから新しい才能をみつけるべきだったと書きました。それと同じようにJ2、J3では一部のベテランを除けば高校、あるいは大学を出たばかりのハングリーな選手で固めるクラブがあってもいい。いい選手を育てて、売って経営を安定させて、少しずつ規模を拡大していく。

 川淵 J3でそうした経営が出来る人間がいれば、目立つし、すぐにクラブをJ1にあげるだろうね。