木村、染野ら五輪世代が点を取る東京V「新たな希望」、広島は「夏の補強」が分岐点【J1「まさかの前半戦」と「マジかの後半戦」大激論】(4)

AI要約

2024年のJ1リーグ前半戦を振り返り、東京ヴェルディのチーム力やサンフレッチェ広島の課題について話し合う。

東京ヴェルディはチョウ・キジェ監督のもと、攻守に全力を尽くす選手たちで中位に位置。新加入や若手の成長が期待される。

一方、サンフレッチェ広島はリーグ戦でのドローが多く、選手層の薄さが課題となっている。選手のケガによる戦術変更も取りざたされる。

木村、染野ら五輪世代が点を取る東京V「新たな希望」、広島は「夏の補強」が分岐点【J1「まさかの前半戦」と「マジかの後半戦」大激論】(4)

 2024年のJ1リーグが、折り返し地点にたどり着こうとしている。20チームで臨んだ前半戦は、良い意味でも悪い意味でもサプライズがあった。また、後半戦の展望につながる新たな材料も見つかった。前半戦をいかに消化し、後半戦に昇華させていくのか、ベテランのサッカージャーナリスト、大住良之と後藤健生が徹底的に語り合った。

――では、順位に関係なく、面白いなと思ったチームはありますか。

大住「東京ヴェルディは見ていて面白いというか、心躍らせるものがあるよね。どんなポジションの選手でも、前へ前へと進んでいく。すごくファンを引きつけるものがあると思うな」

後藤「チョウ・キジェ監督時代の湘南ベルマーレみたいな感じ」

大住「いや、それに技術が加わったような感じだよね。期限付き移籍で借りたパリ五輪世代の選手たち(木村勇大・京都、山田楓喜・京都、染野唯月・鹿島)が頑張って点も取っている」

後藤「段々と順位も上がってきたしね。選手層も厚くしながら、チーム力も上がっている感じがするもんね」

大住「あまり勝っていなかったけど、負けてもいなかった。そこに勝ちが挟まるようになったら、中位ぐらいに行くのは当たり前だよね。上位に行くのは難しいかもしれないけど」

後藤「リードしていたのに追いつかれる引き分けが序盤は続いたけど、最近はリードされたのに追いつく引き分けになってきた」

大住「引き分けって、次に来るのが勝利か負けかで、全然、意味が違ってくるんだよね。勝ちが来ると、“何試合負けなし”と言われ、負けが来ると、“何試合勝ちなし”となる。ヴェルディが負けなしのストーリーにできたのは、守備も全員ですごくしっかりできているから。飛び抜けた選手はいないけど、守備も攻撃も本当に全力でやる姿には、本当に好感が持てるよね」

後藤「城福浩監督は同じ東京のチームで、去年もJ2で対戦していたFC町田ゼルビアをすごく意識しているようだね」

大住「昔、城福監督が勝った試合後に怒っていることがあった。前回の対戦で大敗した相手だったから、1点差の勝利じゃ満足できない、って言うんだよ。だから、後半戦で町田と対戦(15節は5-0で町田の完勝)するときには、5点以上取らないと我慢ならないんじゃないかな(笑)」

後藤「城福監督はいつも、試合を締める選手がいないとか、攻撃でも守備でも交代で出す選手の質が足りないと話すけど、この間のレアル・ソシエダとの親善試合に若手だけで臨んだら、何人かできそうな選手がいたよ。食野壮磨(めしの・そうま)は、もう少ししたら、けっこう戦力になりそう。来季加入が内定している熊取谷一星(くまとりや・いっせい)も出てきて、キレキレのドリブルを見せていた。そういう選手が1、2人加わってきたら、またチーム力も上がっていくだろうね」

――最多9引き分けの東京Vに続き、サンフレッチェ広島も8試合がドローで、こちらは引き分けの後に連敗してしまいました。

大住「開幕節を見たときには、優勝候補だと思ったけどね」

後藤「一昨年、去年と3位だったチームだから、今の成績では満足できないよね」

大住「5位という順位はともかく、トップと勝点9差が開いているというのは、広島としてはかなり不本意だと思うよ。選手層が厚くないんだよね。荒木隼人がケガをしたら中野就斗を3バックの真ん中に回してうまくいった例もあったけど」

後藤「選手層の問題も、一昨年、去年と続いていた」