43歳・岩田寛、初の国内メジャー獲得 『年齢』への最大の武器は中学時代の先生の教え「なるほどなと」【男子ゴルフ】

AI要約

岩田寛(43)が初の国内メジャータイトルを獲得し、石川遼とのプレーオフを制して今季初優勝を果たした。

岩田は43歳にして、ツアーでも日本人最年長Vとなる快挙を達成し、気持ちの力を最大の武器としている。

この優勝で岩田は5年間のシード権を獲得し、米ツアーと欧州ツアーでの出場権も手に入れた。

43歳・岩田寛、初の国内メジャー獲得 『年齢』への最大の武器は中学時代の先生の教え「なるほどなと」【男子ゴルフ】

◇9日 男子ゴルフ BMW日本ゴルフツアー選手権森ビル杯最終日(茨城県、宍戸ヒルズCC)

 岩田寛(43)が今季初優勝、通算6勝目で、初の国内メジャータイトルを獲得した。68で回って通算13アンダーで終え、石川遼(32)=カシオ=とのプレーオフに突入。1ホール目を石川がボギーにしたのに対し、パーでしのいで勝利を引き寄せた。24回目を数えるこの大会の最年長優勝で、今季のツアーでも日本人最年長Vとなった。前日首位タイだった小木曽喬(27)=フロンティアの介護=は、74と崩れ、通算7アンダーで12位で、初優勝を逃した。

 いつもは優勝しても喜びは控えめな岩田が、珍しく帽子を手に取り、観客に向かって振ってみせた。ただ、その顔には疲労感がたっぷり。「疲れました」。梅雨入り前とはいえ、湿気の多い6月の難関コース。プレーオフ(PO)まで戦い抜き、43歳は正直に胸の内を明かした。

 13番までは順調だったが、14番をプレー中、どこかで大きな歓声がした。「(5組前の)遼がバーディーを取ったと分かった。負けたらどうしようと思った」。動揺から、そのホールはバンカーから寄らず、初ボギー。17番も3パットで、過去2戦2敗と分の悪いPOとなった。だが、石川との直接対決では、グリーン奥の難しい状況から1・5メートルに寄せて、パーセーブ。昨年2位に終わった屈辱を晴らした。

 岩田のゴルフは、いつもテーマが明確だ。「年齢にあらがう」。43歳にして、4季連続優勝。この大会を含め、日本タイトルは日本人として最年長制覇。大きなけがもなく、もはや鉄人の域に達している。毎年若くて元気な選手が現れ、自分は1年ずつ老いていく。「きついですねえ。若い子は気持ちよく打つしね」と言うが、負けるとは思っていない。

 アンチエイジングの最大の武器は、気持ちだという。「中学のとき、40歳を過ぎていた先生が、『年を取ったと自分で言うと、年を取る。だから自分は39歳だ』と話していた。なるほどなと思った。今、僕は37歳です」と岩田。「僕のマネジャーが以前、誰かに『宍戸はベテランじゃ勝てない』と言っていて、それが聞こえた。明日の新聞を見たら、びっくりするでしょうね」

 メジャーに勝ったことで、5年間のシード権を獲得した。逆に言えば、これから少なくとも5年間は、第一線で頑張らなければならない。「お世話になっている谷口徹さんは、50歳で日本プロに勝って5年シードを取った。谷口さんからは『何年シードを持っていても、勝負は1年1年だから』と言われた」

 この優勝で米ツアーと欧州ツアーの各1試合の出場権も得た。43歳の活躍の場はどんどん広がっている。

 ▼岩田寛(いわた・ひろし) 1981(昭和56)年1月31日生まれ、仙台市出身の43歳。178センチ、74キロ。小中学時代は野球に熱中。ポジションは捕手と遊撃手。仙台育英高でゴルフ部に入り、東北福祉大をへて2004年プロ転向。06年初シード。14年初優勝。ここまで中日クラウンズ2度制覇を含め、ツアー通算6勝。16年は米ツアーに本格戦線した。スケボーも得意。