「3番の重圧」をはねのけたソフトバンク栗原陵矢の決勝打 2軍で我慢重ねた柳町達にはぶれない技術の高さを見た【評論家の視点】

AI要約

セ・パ交流戦での中日対ソフトバンクの試合結果について、栗原の9回の活躍、柳町と甲斐の打撃に焦点を当てる。

緒方監督と栗原がクローザー相手に好機を活かし、チェンジアップを中前に落として勝利に貢献。

高橋宏を102球で降板に追い込み、中心打者が逆方向への打球でチャンスを生かした打線の粘りが勝利に繋がった。

「3番の重圧」をはねのけたソフトバンク栗原陵矢の決勝打 2軍で我慢重ねた柳町達にはぶれない技術の高さを見た【評論家の視点】

 ◆日本生命セ・パ交流戦 中日2―3ソフトバンク(4日、バンテリンドームナゴヤ)

【評論家の視点/柴原洋氏】

 9回は12球団屈指のクローザーのマルティネスに対し、緒方が四球と二盗で好機をつくり、栗原が5打席目で中軸の仕事をした。抜いた変化球を拾えるようになった5月に調子を急激に上げたが、この打席も外寄りのチェンジアップをしぶとく中前に落とした。

 そこまでの4打席は力みもあり、ミスショットが多かった。離脱した柳田に代わる3番で好機が多く回ってきたこともあり「何とかしないと」と自分でプレッシャーをかけて振り過ぎている印象だった。だからこそ、ここぞという場面で結果が出たのは収穫だ。

 150キロ台中盤の速球と鋭いスプリットを操る先発の高橋宏を、5回限りで降板に追い込んだ打線の粘りも大きかった。フォーク系の投手に対しては強引に引っ張ったら術中にはまる。5回で107球を投げさせられたのは、逆方向への意識を共有していたからだろう。

 2回の甲斐の先制タイムリーは追い込まれた後、外角低めのカットボールを中前に落とした。4回の近藤と中村晃の連打も逆方向への打球で、高橋宏からの8安打のうち7安打が中堅から逆方向だった。甘い球は多くなかったが、相手が嫌がる打撃ができていた。

 1番に入った柳町も素晴らしい活躍だった。3安打は全て中堅から逆方向で、7回は同点の起点となった。開幕から2軍で好成績を残しながら我慢を続けてきたが、自分のポイントとタイミングで打てる安定感はずっと変わらない。技術が高いから1軍でもこれだけ打てる。

 打順は出塁を重視するなら1番だろう。足を使えるタイプではないが、セ・リーグとは対戦が少ないため、塁に出たら「行くぞ」という姿勢をもう少し見せるだけでも相手へのプレッシャーは違ってくる。打点を重視するなら6番も面白い。中村晃がまだ本調子でない中、2日の広島戦では7番でタイムリーを2本打った。近藤の後で「あと1点」のつながりも期待できる。(西日本スポーツ評論家)