まさに「地獄」さながらの光景だったろう…原始地球で起きた、衝撃の「隕石の重爆撃期」と、引き寄せられてきた「地球の材料」

AI要約

地球の進化と地質学における三つの石について紹介されている。地球の誕生からの6億年間の出来事に焦点を当て、地球の構造形成に重要な役割を果たした三つの岩石について述べられている。

地球外生命体の視点から、地球が独特の構造を持つ理由が探求されている。特に地球の地形の極端な特性と、岩石の分布パターンが他の惑星とは異なる点が強調されている。

最終的に、地球が花崗岩、玄武岩、橄欖岩、鉄という特殊な構造を持つことが地球の独自性を示すと結論づけられている。

まさに「地獄」さながらの光景だったろう…原始地球で起きた、衝撃の「隕石の重爆撃期」と、引き寄せられてきた「地球の材料」

私たちが暮らす地球は、豊かな恵みを与えてくれるいっぽう、地震、火山噴火などの大きな災害をもたらすこともあります。こうした大地の性質を「地質」といい、これを研究する学問が「地質学」です。

地球はおもに、マントルなど基礎をなす部分に多い「橄欖岩(かんらんがん)」、海洋の近くで多く見られる「玄武岩」、大陸をなす「花崗岩」の三つの石でできているといいます。

今回は、地球の骨格が形作られる、地球誕生から最初の6億年間に起こった出来事を概観してみます。じつは、この時代が、地球を作る三つの石誕生に大きく関わってくるのです。

*本稿は、ブルーバックス『三つの石で地球がわかる』の内容を再構成してお送りします。

約46億年前に誕生した私たちの地球は、最初から現在のような姿をしていたわけではありませんでした。というより、現在の姿とは似ても似つかぬものだったと言ってよいでしょう。小さくて単純なバクテリアが高等生物に進化したように、地球自身もまた、原始的な地球が大きく進化をとげて、現在のようになったのです。

そして、この地球の進化に大きな役割を果たしたのが、先にご紹介した三つの石*でした。

*参考記事:じつは「石」はよく喋る…3000種あまりある中で「地球の成り立ち」を聞くのに重要な石は「たったの三つ」

近年は太陽系外惑星が次々に発見されて、地球外生命が存在する可能性も現実味を帯びてきています。もしも高度な知的生命体が現在の地球を外観から内部構造までくわしく観察したら、この惑星が太陽系のほかの惑星と比べて、いくつかの点で特異であることに気づくでしょう。

もちろん生物や水の存在は最大の特徴ですが、それだけではありません。この惑星は、外から磁気圏、大気圏、生物圏、水圏、岩石圏などと、さまざまな圏が同心円状に取り巻いて分布しています。これもほかの惑星には見られないことです。

さらに岩石圏を見ると、この惑星の表面は、奇妙な2極構造になっています。陸地の最高点(地球人が言うところのエベレスト山)から海洋の最深点(同じくチャレンジャー海淵(かいえん)まで約20kmの高低差を1000mごとに区切って、それぞれの分布の割合(ヒプソグラム)を求めてみると、海抜0~1000mのところと、水深4000~5000mのところだけが非常に多いのです(図「地球の地形のヒプソグラム」)。

地球と似たような岩石型惑星である金星や火星は、このような極端な地形にはなっていません。金星は1極のみで、火星には3極あります。

そして、これら2極をなす地形から岩石のサンプルを採取してみると、おもに陸上の極大は花崗岩、海洋の極大は玄武岩からできていることがわかります。そ

れらが地殻ーー花崗岩は大陸地殻、玄武岩は海洋地殻ーーを形成し、その下では莫大な量の橄欖岩が、鉄とニッケルの核を覆うように取り巻いています。

すなわちこの惑星は、花崗岩、玄武岩、橄欖岩、鉄という同心円状の構造を呈しているのです。調査を終えた知的生命体は、このようなレポートを母星に送るでしょう。

「太陽系第三惑星は、特殊な分布をする三つの岩石からできている」

では地球はいつ、どのようにしてこうした構造になったのでしょうか。