「ドクターイエロ―」に代わる営業用車両も…進化する「線路」のメンテナンス技術

AI要約

鉄道のメンテナンスについて解説。線路の検査、計画、修繕の流れや機械化の取り組みを紹介。

人手・時間・コストを必要とする線路のメンテナンス作業を効率化するための取り組み。

東京メトロの例を挙げて、AIを活用したトンネルの壁の検査システムについて述べる。

「ドクターイエロ―」に代わる営業用車両も…進化する「線路」のメンテナンス技術

乗り鉄、撮り鉄、駅鉄、時刻表鉄など、さまざまな楽しみ方がある「鉄道」追究すればするほど、新たな側面が見えてきて、「鉄道」の魅力には限りがありません。歴史、技術、鉄道の種類、高速鉄道、運用のしくみ……。車両や線路だけでなく、運用のメカニズムまで徹底的に解説した『最新図解 鉄道の科学 車両・線路・運用のメカニズム』(ブルーバックス)から、特におすすめのトピックを紹介していきます。

今回は、線路のの安全を守る「メンテナンス」について解説していきます。

※この記事は、『最新図解 鉄道の科学』の内容を再構成・再編集してお届けします。

線路は軌道や電気設備、土木構造物で成り立っており、それぞれ長期間放置すると劣化し、場合によっては壊れることがあります。このため、線路の異常を早期に発見し、必要に応じて部品を交換、修繕する作業を行っています。

線路のメンテナンスは、ざっくり言うと「検査」→「計画」→「修繕」の順で進められています。まず「検査」で異常がある箇所を見つけ出し、「計画」で段取りを決め、「修繕」で現地に向かい設備を直します。なお、線路のうち、軌道のメンテナンスを「保線」と呼びます。

このような作業では、多くの人手・時間・コストを必要とします。たとえば「検査」では、複数の作業員が定期的に線路を巡回し、目視や打音検査(ハンマーで叩いたときの音で判定する検査)や電気検査などの各種検査で設備の異常を見つけています。「修繕」においても、人力に頼る作業が多く存在します。

このため現在は、作業の一部を機械化して、線路のメンテナンスにかかるコストの削減や作業の省力化を実現しています。たとえば「保線」では、道床バラストを連続して突き固める機械(マルチプルタイタンパ・写真)や、バラストを交換する機械(道床交換機)、バラスト道床を整える機械(道床整理車)などを使い、作業の効率化を図っています。

土木構造物の「検査」も、一部の鉄道で機械化されています。たとえば東京メトロは、2022年10月から打音点検箇所抽出システムを導入し、トンネルの「検査」の効率化を図っています。このシステムは、高精度カメラを使ってトンネルの壁を撮影し、得られた画像からAI(人工知能)でひび割れなどの変状を読み取り、剥落リスクの高い箇所を自動的に推定するもので、打音検査を行う箇所を絞り込むのに使われています。