【理化学研究所】パーキンソン病の治療薬がアルツハイマー病の治療・予防に有効な可能性をマウス実験で発見

AI要約

パーキンソン病の治療薬であるレボドパがアルツハイマー病の治療・予防に効果的である可能性が示唆された。

レボドパによりAβ(アミロイドベータ)の蓄積が減少し、記憶力や認知機能の改善が観察された。

西道チームリーダーは、広く使われる既存薬を活用することで治療費を抑えられる可能性を指摘している。

【理化学研究所】パーキンソン病の治療薬がアルツハイマー病の治療・予防に有効な可能性をマウス実験で発見

 パーキンソン病の薬がアルツハイマーの治療・予防に有効な可能性?理化学研究所がマウスを使った実験で見つけました。

 アルツハイマー病は、記憶力や認知能力の低下を引き起こし、「けさ、何を食べたか」を忘れてしまう。夜になると徘徊が起きるといった症状などを引き起こします。

 これらの症状は、Aβ(アミロイドベータ)というたんぱく質の蓄積が原因の一つと考えられています。

 今回、理化学研究所は、このAβの蓄積を抑える効果を持つ薬を見つけました。それはパーキンソン病の治療で用いられる「レボドパ」という薬だということです。

 理研によりますと、Aβが蓄積したマウスに「レボドパ」を3か月間与え続けると、「レボドパ」を与えなかったマウスよりもAβの蓄積量が減少したといいます。

研究を主導した西道隆臣チームリーダーは、この結果から「レボドパ」にはアルツハイマー病を治療するだけでなく予防する効果もあるのではないかとしています。

また、Aβの蓄積で異常が見られていたマウスの行動にも「レボドバ」をあたえたことで変化があったといいます。Aβが蓄積していない通常のマウスは、一度電気ショックを経験すると、それ以降は身体をすくめるといった恐怖反応を示しますが、Aβが蓄積したマウスは記憶力の低下で恐怖反応が乏しくなります。しかし、今回の実験ではAβが蓄積したマウスに「レボドパ」を与えると、恐怖反応の減少が見られず、認知機能にも改善が認められたということです。

 Aβの蓄積が一つの原因とされるアルツハイマー病。25年ほど前から研究を積み重ねてきた西道チームリーダーは、今回の「レボドバ」だけでなく、糖尿病治療薬にもAβの蓄積を抑える効果があることをすでに報告していて、広く使われる既存薬を応用できれば、治療費を安く抑えられるとみていて、迅速に臨床試験を進めてほしいとしています。

(理化学研究所・西道隆臣チームリーダー)「『レボドパ』は他の治療薬と比べると薬価が何百分の一程度。『レボドパ】でアルツハイマー病を予防ができれば意味合いが大きいだろう。初期のアルツハイマー病の方にも効果が期待できる。我々の手から離れて、臨床の方々が自由な発想でやっていただけたらと。」

パーキンソン病の治療薬がアルツハイマー病の新たな治療や予防の形となるのでしょうか。