受け継がれるスカイウォーカーの遺伝子…「アナキンの闇落ち」を驚愕の感動に変える「133のエピソード」が、まさに「DNAそのもの」だった

AI要約

ブルーバックス編集部メンバーがコンプリート癖について語る。

映画シリーズ『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』が『スター・ウォーズ』のDNAとして特別な存在である理由。

『マンダロリアン&グローグー』との関連性も述べられる。

受け継がれるスカイウォーカーの遺伝子…「アナキンの闇落ち」を驚愕の感動に変える「133のエピソード」が、まさに「DNAそのもの」だった

1963年に創刊されて以来、「科学をあなたのポケットに」を合言葉に、これまで2000冊以上のラインナップを世に送り出してきたブルーバックス。本連載では、そんなブルーバックスをつくっている編集部メンバーによるコラムをお届けします。その名も「ブルーバックス通信」。どうぞお楽しみください!

みなさんには何かの「収集癖」はありますか?

私にはこれといってものを集める習慣がなく、生まれてこの方「~コレクション」みたいなことに挑戦した経験がありません。

その代わりというわけでもないのですが、「コンプリート癖」なるものが備わっていまして、子どもの頃から偉人の伝記集を全巻読むとか、夏の甲子園やワールドカップをひと大会まるまる全試合観るとか、「一気通貫」することに爽快感を覚えるたちなのです。(なぜか麻雀の役では一気通貫より九蓮宝燈のほうが好きですが、それはたぶん、出目徳=高品格さんの影響です)

映画のシリーズ作品を一気通貫する(してしまう)のもコンプリート癖の一つで、それも長くなればなるほど「やる気」に燃えてしまいます。

現在進行中のものでいえば、MCU(Marvel Cinematic Universe)も最新作の『デッドプール&ウルヴァリン』まで全作品を観ていますが、一気通貫し終えたもので最も達成感を味わった作品を挙げるとすれば、間違いなく『スター・ウォーズ/クローン・ウォーズ』です。

映画版の『エピソード2/クローンの攻撃』と『エピソード3/シスの復讐』の間を結ぶシリーズで、計7シーズン、全133話からなる大作です(さらにプラスして映画1本)。やんごとなき事情でしばらく中断を余儀なくされたこともあり、2年近くを要してコンプリートしました。

どうしてこんな話をしているかといえば、この作品が『スター・ウォーズ』という長大な作品群の「DNA」のような存在だと感じているからです。

数えきれないほど多彩で魅力的なキャラクターが登場する『スター・ウォーズ』ですが、その根幹をなすのはスカイウォーカー家の人々、なかでも、やがてダース・ベイダーへと姿を変えてしまうアナキン・スカイウォーカーでしょう。

アナキンの物語は、『エピソード1/ファントム・メナス』からの新三部作で描かれますが、『エピソード3/シスの復讐』では、ややあっさりとダークサイドに堕ちてしまう印象が残るため、「彼がなぜダース・ベイダーにならざるを得なかったのか?」という大いなる問いへの答えとして、どこか食い足りないと感じた人もいたのではないでしょうか。私もそうでした。

その答えが、『クローン・ウォーズ』に詰まっているのです。『クローン・ウォーズ』を観終えてから『エピソード3/シスの復讐』をあらためて見直すと、アナキンがダークサイドに堕ちてしまう(堕ちざるをえない)心情が痛いほどよくわかります。

終盤の山場である惑星ムスタファーでのアナキンとオビ=ワン・ケノービの対決シーンでは、オビ=ワンの最も有名なセリフの一つ、「You were the chosen one!」が自分でも驚くほど胸に刺さり、思わず号泣してしまうほどでした。

アナキンがダース・ベイダーにならなければ、ルークとレイア、ハン・ソロたちが活躍する物語も成り立たなかったはずで、これが、『クローン・ウォーズ』が『スター・ウォーズ』の「DNA」だと感じる第一の理由です。

ちなみに、『スター・ウォーズ』シリーズの最新映画として、2026年5月の公開が予定されている『マンダロリアン&グローグー』が控えていますが、『クローン・ウォーズ』には、マンダロリアンとその故郷マンダロアも登場します。その後に派生するさまざまなキャラクターやストーリーのオリジンになっているという意味でも、まさに『スター・ウォーズ』の「DNA」といえそうです。