認知症と回想法

AI要約

2024年に施行された認知症基本法により、9月21日が認知症の日と定められ、各自治体が認知症にやさしいまちづくりを推進している。

厚生労働省の調査では、認知症高齢者の将来推計が大幅に下方修正され、認知機能低下の進行が抑制された可能性が示唆されている。

また、軽度認知機能障害(MCI)の将来推計も報告され、MCIから認知症へ進展する恐れのある人数が上昇している。

認知症と回想法

 9月は「認知症月間」だ。各自治体では、広報誌などにより、「認知症にやさしいまちづくり」をアピールしている。

 2024年1月に施行された「共生社会の実現を推進するための認知症基本法」(認知症基本法)では、毎年9月21日を「認知症の日」、9月を「認知症月間」と定めている。

 これは、1994年9月21日にスコットランドのエディンバラで、第10回国際アルツハイマー病協会国際会議が開催され、同会議の初日を「世界アルツハイマーデー」と宣言したことに由来している。

 認知症高齢者の将来推計が大幅に下方修正された。

 厚生労働省研究班(代表者・二宮利治九州大教授)が5月8日に示した調査結果によると、認知症高齢者は、2025年には471万人となり、団塊ジュニア世代が65歳以上になる40年には584万人になると推計している。

 これは、22~23年にかけて研究班が実施した全国から四つの自治体を抽出して行った認知症の有病率調査に基づくもので、前回調査(14年度厚生労働省研究事業)の25年(675~730万人)、40年(802~953万人)の将来推計に比べ大幅に下回る結果となった。

 この結果について、研究班は「喫煙率の低下、高血圧や糖尿病、脂質異常などの生活習慣病管理の改善、健康意識の変化などにより認知機能低下の進行が抑制されたのではないか」と分析している。

 一方、今回の調査では、軽度認知機能障害(MCI:Mild Cognitive Impairment)の将来推計が報告され、25年には564万人、40年には613万人になるとされた。

 MCIは将来的に認知症に移行する恐れがある「認知症予備軍」と位置付けられている。

 調査方法は異なるが、MCIの有病率は12年の調査に比べて上昇しており、認知症高齢者の有病率が減った原因の一つを「MCIから認知症へ進展した者の割合が低下した可能性が考えられる」と研究班は分析する。