コロナ禍、肺がん患者の死亡リスク増 治療控えや検診数低下など

AI要約

新型コロナ感染症下で肺がん患者の1年以内の死亡リスクが増加したことが広島大と京都大の研究で示された。

診断時の高齢化、治療差し控えの増加、がん検診数の低下がリスク増加の要因とされた。

患者の死亡リスク増加は、年齢、治療、検診数の影響が大きく、性別やがんのステージとの関連は見られなかった。

コロナ禍、肺がん患者の死亡リスク増 治療控えや検診数低下など

 新型コロナウイルス感染症の流行中に、肺がんと診断された患者の1年以内の死亡リスクが、それ以前に比べて約1.2倍高かったと、広島大と京都大の研究チームが発表した。診断時の年齢が上がったほか、治療の差し控えの増加、がん検診の診断数の低下が大きく関与していた。

 広島県内の病院のがん登録データを分析した論文が、米国のがん専門誌に掲載された。

 チームは広島県内の15施設で、新型コロナの流行が始まった2020~21年に肺がんと診断された患者2874人と、流行前の18~19年に診断されだ2911人について、診断後1年以内の死亡率と、その要因を検討した。

 1年以内に亡くなったのは計1502人で、20~21年に診断された患者の死亡リスクは、18~19年に診断された患者の1.19倍と高く出た。

 死亡リスクが高まった要因は、診断時の年齢上昇(高齢化)、外科手術や抗がん剤治療などを受けられなかった患者の増加、がん検診で診断された患者の減少で、それぞれリスク上昇分の17.5%、13.9%、12.4%にあたると分析された。がんのステージ(重症度)、性別などとの関連は見られなかった。