今夏はコロナ新変異株「FLiRT」が急拡大中、危険性やワクチンの効果は、秋冬はどうなる?

AI要約

新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミックが続き、夏には拡大が予想される。

米国やヨーロッパを含む各国で感染者が増加し、夏季オリンピックでも感染が確認される。

新たな亜系統のFLiRT変異株が感染者の急増を引き起こしており、秋冬にも影響が懸念される。

今夏はコロナ新変異株「FLiRT」が急拡大中、危険性やワクチンの効果は、秋冬はどうなる?

 新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のパンデミック(世界的大流行)が始まってから、これで5度目の夏になる。そして2024年の感染拡大は、夏に起こるものとしてはこれまでで最大規模となることが予想されている。

 米疾病対策センター(CDC)は、救急外来のデータに基づき、8月13日の時点で25の州で新型コロナの感染が増えつつあると推定している。一方で、入院および死者の数は、今も最低水準にとどまっている。

 日本の厚生労働省が8月16日付けで発表した新型コロナの発生状況では、全国の定点当たり報告数や入院患者数が5月から増え始め、7月ごろから急増したことがわかる。直近では少し減っているように見えるが、国立感染症研究所は、お盆などの週は「報告数が減少する傾向があり解釈には注意が必要」としており、実際に2023年の夏は8月末から9月頭にピークを迎えた。

 5月初旬以降、新型コロナの感染は、米国、ヨーロッパ、シンガポール、ニュージーランド、オーストラリアでも着実に増加してきた。7月にはバイデン米大統領が検査で陽性反応を示したほか、フランスのパリで開催された夏季オリンピックでは、出場選手のうち少なくとも40人の感染が確認された。

「新型コロナはまだわれわれの元を去ったわけではありません」と、世界保健機関(WHO)の疫病およびパンデミック準備・予防部門の暫定部長マリア・バン・ケルコフ氏は8月6日、記者団に述べている。

 最近の感染者の急増を引き起こしているのは主に、同じ親株から派生した共通の変異をもつ新たな亜系統のグループであり、これらはまとめて「FLiRT(フラート)」と呼ばれている。

 夏が終わりに近づくころ、米国では全国の学生たちが学校に戻っていく。この時期は昔から、インフルエンザやRSウイルス(呼吸器合胞体ウイルス)、そして近年では新型コロナを含むさまざまな呼吸器系ウイルスが流行する季節でもある。

「今年の秋冬に何が起こるのかについては、はっきりとはわかりません」と、東京大学のウイルス学者、佐藤佳氏は言う。FLiRT変異株は夏以降も進化を続ける可能性が高いが、まったく新しい亜系統が出現する可能性も否定できない。「オミクロン株の出現のような現象」は2021年以降、毎年秋に起こっているように見えると佐藤氏は述べている。