「熱中症のほうがむしろ命の危険」...《新型コロナ第11波》とまるで「オウム返し」のように危機をあおり続ける「メディアの不見識」

AI要約

新型コロナウイルスの新規感染者数は、13週連続の増加を避けるも、警戒が強まっている状況。

新変異株KP.3はオミクロン株に置き換わり、重症化リスクは低いとされている。

第11波についても感染者は増えているが、重症者や死亡者の増加は特に報告されていない。

「熱中症のほうがむしろ命の危険」...《新型コロナ第11波》とまるで「オウム返し」のように危機をあおり続ける「メディアの不見識」

7月29日~8月4日に報告された新型コロナウイルスの新規感染者数は、全国で6万5699人。前週より約1万3000人減り、13週連続の増加は避けられた。

とはいうものの、メディアでは連日、「新たな変異株『KP.3』が猛威を振るっている」「第11波が到来」「お盆明けがピーク」などと大々的に報じられ、日本医師会も7月31日、コロナ対策を呼びかける動画をYouTubeで公開するなど、警戒を強めている。

だが、昨年5月8日に新型コロナが感染症法上の5類に移行されてから、もう1年以上経っている。それほどの危機が迫っているといえるだろうか。

新変異株「KP.3」は以前の「JN.1」からほぼ置き換わったオミクロン株であり、感染して発症したとしても、重症化する可能性は基本的に低いとみられている。

高齢者や基礎疾患のある人に関しても、健常人より重症化リスクが高いとはいえ、それはどんな感染症でも同じ話だ。

第11波について、国立病院機構仙台医療センターのウイルスセンター長で、著書に『もうだまされない新型コロナの大誤解』(幻冬舎)がある西村秀一氏が解説する。

「現在、第11波と報じられていますが、たとえば第1波(2020年3月~5月ごろ)から第4波(2021年3月~4月ごろ)までを振り返ってみると、問題視する必要もないくらいの波だったといえます。今の“第11波”も、昨年の同時期から比べて感染者が増えているとはいえ、重症者や死亡者が特段増えているという話は聞きません。いちいち第◯波と数えるために、感染者数の推移を過剰に恐れる人を増やしてしまうだけです」(以下「」は西村氏)

今年のパリ五輪でも、コロナ陽性反応を示す選手が相次ぎ、出場辞退やマスク着用が求められる状況となっていた。

日本においても、猛暑が続く炎天下の中でマスクをしている人たちを都内でよく見かける。

新型コロナ禍に入った2020年から「熱中症を防ぐために屋外ではマスクをはずしましょう」と、厚生労働省が呼びかけ続けているにもかかわらずだ。西村氏が指摘する。

「個人の自由とはいえ、見るからに暑苦しいです。感染についても基本的に屋外の広い場所であれば、すれ違う人が仮に咳をしてもウイルスを吸い込んでしまう可能性はほぼゼロ。屋外でマスクをする必要はまったくない。連日、猛暑が続く夏場はコロナよりも熱中症のほうが命の危険があります」

東京23区内では7月、熱中症疑いの死者が123人(速報値)。前年同期比28人増で、7月の死者が100人を超えるのは2018年以来6年ぶり。救急出動も増えているという。

毎日のように熱中症警戒アラートが出ている今の時期は、新型コロナよりも熱中症を恐れるべきだろう。