噛まれたことを思うと、ゾッとする…あまりに「頑丈な頭骨」を持った「人類の系統」がたどった、謎に包まれた「その後」

AI要約

地球の歴史とホモ・サピエンスの進化についての物語。

アウストラロピテクス・エチオピクスの特徴や発見について。

アウストラロピテクス・エチオピクスと他の種との違いについて。

噛まれたことを思うと、ゾッとする…あまりに「頑丈な頭骨」を持った「人類の系統」がたどった、謎に包まれた「その後」

長い長い進化の中で、私たちの祖先は、何を得て、何を失い、何と別れてきたのかーー

約46億年と言われる地球の歴史において、生命が誕生は、遅くとも約39億5000万年前と言われています。そして、最初の人類が登場するのは、約700万年前。長い地球の歴史から見れば、“ごく最近”です。

しかし、そのホモ・サピエンスも、突如として誕生したわけではありません。初期生命から現在へと連綿と続く進化の果てに、生まれたのです。私たち「ホモ・サピエンス」という一つの種に絞って、その歴史をたどってみたら、どのような道程が見えてくるでしょうか。そんな道のりを、【70の道標(みちしるべ)】に注目して紡いだ、壮大な物語です。

この『サピエンス前史』に綴られる、70の道標から、とくに注目したい「読みどころ」をご紹介して、好評博したシリーズ。歯も顎ももたないサカナから、「類人猿」の登場までの長い道のりを辿ってきました。今回は、現生人類への道に通じなかったと思われるものの、人類史で看過できない「頑丈型猿人」と呼ばれるグループについての解説をお届けします。

*本記事は、『サピエンス前史 脊椎動物から人類に至る5億年の物語』(ブルーバックス)を再構成・再編集したものです。

多様性に富むアウストラロピテクス属の中には、研究者によっては別の属名で呼ぶような“ちょっと変わったアウストラロピテクス”もいた。

たとえば、「アウストラロピテクス・エチオピクス(Australopithecus aethiopicus)」である。研究者によっては、「パラントロプス・エチオピクス(Paranthropus aethiopicus)」と呼ぶ。本書では前者の名前で続けるとしよう。

アウストラロピテクス・エチオピクスは、その名が示すようにエチオピアで最初の化石が発見され、その後、ケニアやタンザニアなど、アフリカ大陸の東部からの報告がある。頭骨などの部分化石しか発見されておらず、全身の復元には至っていない。脳容積は410立方センチメートルほどと推測されている。年代は、約270万~約230万年前。新第三紀鮮新世から第四紀更新世にかけて生息していたようだ。

頭骨などの部分化石しか発見されていないアウストラロピテクス・エチオピクスだけれども、その頭骨にアウストラロピテクス・アファレンシスやアウストラロピテクス・アフリカヌスとの決定的なちがいがあった。

頭頂の中軸部に、板状の突起が発達していたのだ。