直径22cmの球体がピッタリ収まった立方体の体積は? 「全国学力テスト」であなたの「算数力」をチェック!

AI要約

2024年度の全国学力テストの結果から、算数分野での苦手な傾向や教育課題が明らかになった。

教育の問題点や割合(%)の重要性、過去の学力テストの問題を通じて算数理解と教育の必要性を探る。

図形問題や暗記重視教育の弊害についても議論がなされており、教育の改善と充実が求められている。

直径22cmの球体がピッタリ収まった立方体の体積は? 「全国学力テスト」であなたの「算数力」をチェック!

2024年度の全国学力テスト(小学校6年生・中学3年生対象)の結果が7月29日に公表された。それによると、算数の分野では、図形問題や単位量あたりの大きさ・速さを求める問題を苦手とする子どもが多い傾向が見られたという。その一因として、幼いころから公式などを丸ごと記憶させる暗記重視の教育を受けてきた弊害が挙げられるだろう。『昔は解けたのに……大人のための算数力講義』(講談社+新書)著者の芳沢光雄氏が、テストから浮かび上がった課題とそれを克服するための考え方を解説する。

『大人のための算数力講義』連載第33回

『算数が苦手な人にお勧めの「発見的問題解決法」。わからない問題に出会ったら、この「13分類」を考えてみよう』より続く

7月25日の「現代ビジネス」に載せた拙文「小学生のころはすぐに解けたはず……水と食塩、それぞれ何グラムあれば、10%の食塩水を1000グラムつくれるか」において、同様の問題が出題された昭和58年(1983年)度と2012年度の全国規模の学力テストで、正答率が69・8%から52・0%に下がったことなどを紹介し、現代社会でとくに重要な「割合(%)」の教育を根本的に充実させる必要性を述べた。

全国学力テストには、教育の様々な問題点を浮き彫りにする効果がある。以下、最近の調査結果を分析してみよう。

冒頭で述べた7月25日発表の拙文の趣旨は、次のようなものでった。

算数の学びと指導において、円の中に「く」「も」「わ」の文字を書いて「く(比べられる量)・も(もとにする量)・わ(割合)」の公式を暗記させるだけの教育ではなく、理解の教育を充実させなくてはならない。

このような教育が蔓延(はびこ)る原因の一つに、教員が多忙すぎるという問題があることは確かだ。だからといって、現代社会でもっとも重要といえる「割合(%)」の指導に手抜きがあってはならないはずである。

「割合(%)」が重要だという一例を示す。「日本人は魚をたくさん食べる」というとき、以前は「日本全体での合計の消費量」を各国のそれと比較することが多かった。ところが、今では「日本人一人当たりの消費量」をもとに比較する形式に変わってきている。現在は「合計」の時代から「割合(%)」の時代になっているのである。

このような時代背景のなかで、中学生、高校生、そして総合型入試(旧AO入試)で大学生になる人たちのことを考えると、より強く算数教育の充実を訴える必要があるだろう。

そこで、ここからは過去の全国学力テストの問題を題材に、算数を理解するとはどういうことかを述べていきたい。

なお、これから掲載する問題の紹介部分では、コンパクトにまとめるために問題の表現を若干変えて述べさせていただくことをお許し願いたい。

特に本記事がWEB上で公開されることから、出題時にあった図を省略し、図からただちに読み取れる内容をあえて文章で表現したことで、実際の問題よりやや易しくなっている問題もあることをお断りしておく。図を含めた実際の問題の正確な表現は国立教育政策研究所ホームページ等を参照していただきたい。