鶏のから揚げ「外カリッ中ジュワーッ」を生み出す温度調節の3段階

AI要約

料理研究家である川上文代さんの新刊『おいしさの秘密を大解剖!調理科学でひも解く 基本の料理』では、料理のコツとその科学的根拠が解説されている。

記事ではポテトサラダのマヨネーズ投入タイミングの根拠が示され話題となったが、今回は鶏のから揚げを美味しく仕上げるコツと根拠について紹介する。

鶏のから揚げのコツは温度調節であり、川上さんの作り方には低温→余熱→高温の3段階の調理が必要とされ、最終的にカリッと外側、ジューシーで中はジュワーッとした食感に仕上げる。

鶏のから揚げ「外カリッ中ジュワーッ」を生み出す温度調節の3段階

 どんな料理も美味しく仕上げるにはコツがある。料理研究家でありシェフでもある川上文代さんが出したばかりの『おいしさの秘密を大解剖!調理科学でひも解く 基本の料理』は、基本の料理の「コツ」に加えて、そのコツの「科学的根拠」を示した本だ。

 7月23日に公開した記事 ポテトサラダのマヨネーズ「加えるタイミング」の正解と科学的根拠とは? では、ポテトサラダをしっとり仕上げるためのマヨネーズ投入のタイミングとその根拠を示し、反響を得た。

 川上さんはこの本で、ほかにも多くの家庭料理を美味しく仕上げるコツを解説しているが、なかでも定番中の定番は、鶏のから揚げだろう。今回は、鶏のから揚げを美味しく仕上げるコツとその根拠を、本を引用しつつ紹介したい。

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 知っているようで知らない美味しいから揚げのコツは、温度調節。外はカリッと、中はジューシーでジュワーッと肉汁があふれ出るおいしいから揚げにするためには、低温→余熱→高温という3段階の温度調節が必要だ。

 川上さん流の作り方はこうだ。

 まず、鶏肉に調味料(しょうゆ・酒・塩・こしょう)をよくもみ込む。酒やしょうゆの水分をしみ込ませると、やわらかくジューシーに仕上がる。調味料につけた鶏肉にはラップを密着させておくと、乾燥せずに味がしみ込む。ポリ袋に入れて密閉するのもおすすめだ。

 調味料をもみ込んだあとの、ズレた鶏肉の皮は、衣をつける前に形を整える。これで仕上がりがきれいになる。

 重要な「温度調節」はここからだ。最初の温度は「160℃」。鶏肉の皮目を下にして低温で揚げると、中はやわらかく、しっとりした食感に。表面がかたまってきたらひっくり返して、片面3分ずつ均一に揚げる。取り出したら3分ほどおいて「余熱」で火を通し、「180℃」の高温での二度揚げへ。

 高温での二度揚げの際は底面にくっつきやすいので、混ぜながら揚げる。この「高温二度揚げ」が水分を閉じ込めてくれた結果、表面はカリッ!中はやわらかく、ジュワーッと肉汁があふれて、ごはんとの相性抜群のから揚げができあがるというわけだ。

 一緒にグリーンサラダを用意するなら、「冷水につける」「水けをしっかりきる」「ドレッシングはそっと絡める」がポイント。

 グリーンリーフやベビーリーフは、冷水につけることで野菜の細胞に水分が入り込むため、食物繊維が冷やされてかたくなり、シャキシャキの食感になる。水っぽくならないように、でも葉をつぶしてしまうことがないように、サラダスピナーなどを使って水けをしっかりきる。ドレッシングは、食べる直前に手でふんわりとあえると、葉がシャキシャキのまま水っぽくならずに食べることができる。

(構成 生活・文化編集部 森 香織/写真 邑口京一郎)