5000年前に殺された「ビットルプマン」の驚きの生涯が判明、2つの異なる世界を生きていた

AI要約

1915年にデンマーク北部のビットルプ村で泥炭を掘っていたとき、ビットルプマンという人骨が見つかった。

最新の研究により、ビットルプマンは狩猟採集民から農耕民へと生活スタイルを変えたことが判明した。

ビットルプマンの存在は、北欧での異なる文化間の接触や移動を示し、先史時代の興味深い事実を明らかにしている。

5000年前に殺された「ビットルプマン」の驚きの生涯が判明、2つの異なる世界を生きていた

 1915年にデンマーク北部のビットルプ村で泥炭を掘っていたとき、砕けた頭骨を含む人骨と(この人物の殺害に使ったと思われる)こん棒、ウシの骨、器が見つかった。この人骨は「ビットルプマン」と呼ばれ、デンマークの先史時代に関する遺伝学的な研究の対象となった。2014年の研究は、ビットルプマンが別の場所で生まれ育ったことを示唆していたが、2024年2月に発表された新たな論文により、彼の人生が驚くほど詳しく明らかになるとともに、農業が始まったころの北欧の状況も垣間見えた。

「骨の主がどんな人物かが見えてきました。根本的に異なる2つの世界の接触を物語っています」と、論文の筆頭著者で、研究を率いたシーランド・アーキオロジーのアンダース・フィッシャー氏は「History」誌の取材で述べている。

 ビットルプマンが生きた新石器時代、現在のデンマークはベル・ビーカー(鐘形杯)文化の農耕民族が占有していた。一方で、さらに北の現在のノルウェーやスウェーデンのあたりには、中石器時代の狩猟採集民のコミュニティーがあった。

 フィッシャー氏のチームは伝統的な考古学と最先端のバイオテクノロジーを組み合わせ、ビットルプマンが北方の狩猟採集民と密接な関係にあることを発見した。

 考古学者たちは両地域間で物や人々が行き来していた証拠を集めてきたが、ビットルプマンに関する新たな発見は、個人についての興味深い視点をもたらしている。

 食生活を分析した結果、ビットルプマンは10代で北方の狩猟採集文化を離れ、その後の生涯をデンマークの農民とともに暮らしていたことがわかった。主な食べ物は海の魚類や哺乳類から穀物、乳、ヤギ、ヒツジに激変していた。

 ビットルプマンは今やデンマーク史上最古の移民であり、先史時代の2つの時代区分と文化を移動した変化を身をもって示している。「地理的なものだけでなく、生き方もがらりと変わりました」とフィッシャー氏は述べている。