なぜ、こうも「噴火」が繰り返されるのか…実際に島に行って、石を取ってきてわかった「噴火の性状」と、「マグマ供給のしくみ」

AI要約

2019年に行われた第2回の上陸調査では、西之島の環境や地理が大きく変化していることが確認された。専門家たちが集まり、総合的な調査が行われた。

島に生息する生物種が明らかにされ、地形地質の変化だけでなく、噴火直後の生態系についても重要な知見が得られた。

調査隊は高温に晒されながらも、溶岩の形態や内部構造の調査を進め、島の未来や地球のダイナミズムについて深く探求した。

なぜ、こうも「噴火」が繰り返されるのか…実際に島に行って、石を取ってきてわかった「噴火の性状」と、「マグマ供給のしくみ」

新たな火山島の出現は、島を知り地球を知る研究材料の宝庫。できたての島でなくては見ることのできない事象や、そこから伝わってくる地球のダイナミズムがあります。そして、地球に生まれた島は、どのような生涯をたどるのか、新たな疑問や期待も感じさせられます。

今まさに活動中の西之島をはじめ、多くの島の上陸調査も行ってきた著者が、国内外の特徴的な島について噴火や成長の過程での地質現象を詳しく解説した書籍『島はどうしてできるのか』が、大きな注目を集めています。

ここでは、実際に現場を見てきた著者ならではの、体験や研究結果をご紹介していきましょう。今回は、2019年に行われた、第2回の上陸調査の模様と、そこから得られた噴火を読み解くヒントについて解説します。

※この記事は、『島はどうしてできるのか』の内容を再構成・再編集してお届けします。

前回の記事で紹介した2016年の調査に続く、2回目の上陸調査は環境省による総合学術調査として2019年9月初旬の3日間に行われた。地質と観測を専門とする火山研究者4名のほか、鳥、昆虫、植物、潮間帯生物を専門とする研究者6名が加わり、いかにも総合的と呼べるような調査隊が結成された。第二開洋丸が母船となり、ゴムボートで接近し最後は泳ぐという前回と同じ手順を踏み、2016年と同じ西側から上陸を果たした。

しかし海岸地形は2017年噴火により大きく変わり、海岸線は100m以上沖側に移動していた。上陸地点の風景も以前とはだいぶ異なるものだったが、海鳥たちの様子やそこらじゅうに散らばっている彼らの糞から発せられる臭いは相変わらずで、再びこの場所に戻ってきたのだという懐かしさを感じる。

9月といっても西之島はまだまだ夏の盛りで、岩石質の島の温度は高く、熱中症に気を使い、こまめに給水と休息を取りながら調査は進められた。

地質班は着々と溶岩の形態や内部構造の調査、試料採取を進めたが、前回とは異なり多くの生態系研究者が参加したことにより、島に生息する生物種が次々と明らかにされた。この調査により、2017年以降の地形地質の変化が明らかになり、観測点が新たに設置されただけでなく、噴火直後の生態系の理解も大きく進んだのだ。